62歳、突然解雇になりました。年金と失業保険は同時に受けられますか? 終活世代の就活実状 その2
Aさん(62歳)は、ある日突然に解雇を言い渡されました。会社の業績悪化による整理解雇です。この会社には7年ほど勤めました。突然の解雇のため、Aさんはこの先どうするか頭の整理ができていません。とりあえず、失業給付を受けて……と考えています。 雇用保険の被保険者の方が離職した際、失業中の生活を心配することなく新しい仕事を探し、1日も早く再就職できるよう雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)を受けることができます。基本手当を受けられるのは、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算12ヶ月以上、倒産・解雇等の場合は離職の日以前1年間に6ヶ月以上です。 加入期間の要件を満たしているAさんは、離職票を受け取ったらハローワークに行って基本手当の受給手続きをする予定です。
基本手当は、求職活動をする人がもらうもの
雇用保険の基本手当は、会社都合の離職の場合、ハローワークに離職票を提出して求職の申し込みをした日から7日間の待機期間ののち受け取ることができます。 また、Aさんは、60歳を過ぎているので年金を繰上げ受給することともできます。ただし65歳未満のため、65歳になるまでの期間、ひと月ごとに0.4%減額されます。次の職が見つからなければ、減額された年金を受け取ることも仕方がないことでしょう。 ここでAさんに、最初から形だけ求職して、基本手当を受給直後に年金生活に移れば良いのではという思いがよぎります。これまで雇用保険料を払ってきたから当然の権利とAさんは思いましたが、何も問題はないのでしょうか。 基本手当は、「失業状態にある」者が受け取れるものです。失業の状態にあるとは、求職の申し込みを行い、「就職しようとする積極的な意思があり」「いつでも就職できる能力がある」者が職業に就くことができない状態をいいます。 よって、基本手当をもらい終わったら続いて年金生活をしようと考えている場合は、「働く意思がない」ので、失業手当を受け取ることはできません。働く意思がないのに失業認定申告書を偽って申告し、受給するのは不正受給になります。注意しましょう。