62歳、突然解雇になりました。年金と失業保険は同時に受けられますか? 終活世代の就活実状 その2
年金と失業給付は同時に受けられない
基本手当の支給額は、退職までの給与の50%(60歳~64歳は45%)から8割程度のため、基本手当の支給額だけでは生活費が少し心配です。その不足分を補うために、貯蓄を切り崩すのはやむを得ません。 それなら、いっそのこと年金を繰上げして不足分を補うというのはどうでしょうか。しかし、これはできません。基本手当と年金は同時に受けられません。 では、60歳から年金を繰上げ受給しながら働いていた場合に、離職したらどうなるのでしょう。年金を受け取っているので、基本手当を受けられないのでしょうか。だったら、雇用保険料の払い損? この場合は、年金が支給停止されます。離職して、ハローワークで求職の申し込みをした日の翌月から年金が全額支給停止されます。ただし、求職の申し込み後で基本手当の支給がない月については、年金は3ヶ月程度後に支給されます、また、基本手当の受給期間が過ぎれば年金の支払いが開始されますが、3ヶ月程度後になります。
繰上げ受給をしながら厚生年金加入したら、払い損?
健康のため、お財布のため、できるだけ長く働きたいと考えているAさん。 令和5年版高齢社会白書によれば、高齢者の就業率は上昇傾向にあります。そして、健康寿命は延伸し、平均寿命と比較しても伸びが大きい状態にあります。働くことで社会とのつながりを持つことができ、生きがいを感じられることで、健康でいられると考えられます。 年々衰えていく体力のことを考えると、年金を受け取りながらのんびりと働くこともありかなとAさんは考えますが、働きながらの年金受給に注意することはあるのでしょうか。 勤務先が社会保険の適用事業所の場合、年金を受け取っていても、加入の要件を満たしていれば社会保険料を支払わなくてはなりません。また、老齢厚生年と給与(賞与含む)の月額が48万円を超える場合、超えた分の2分の1の老齢厚生年金が停止されます。 一方、加入することで良い面もあります。70歳までであれば、厚生年金保険に加入した分、老齢厚生年金を増やすことができます。 繰上げ受給した分は生涯減額されたままですが、繰上げ以降に厚生年金保険に加入した分は、老齢厚生年金額にしっかり反映されるのです。さらに65歳以降は、在職定時改定により、毎年、年金額が再計算されて受け取れます。 年金を受け取りながらでも、厚生年金保険に加入すれば年金を増やせるメリットがあることを知ったAさん。60歳を過ぎての職探しは難しいですが、職探しに意欲的になりました。 出典 ハローワークインターネットサービス 基本手当について 日本年金機構 年金と雇用保険の失業給付との調整 内閣府 令和5年版高齢社会白書(概要版)(PDF版) 執筆者:林智慮 CFP(R)認定者
ファイナンシャルフィールド編集部