がん情報のネットでの収集 半数近くが「困難」経験 患者調査で判明
がん患者がオンライン上でがんの情報を入手、活用する際の課題を明らかにするため、国立がん研究センターや全国がん患者団体連合会(全がん連)などが、患者約1千人を対象に実施した調査結果をまとめた。患者の半数近くが情報を集める際に「困難を感じた」と回答。オンライン上に情報があふれるなか、信頼性が高く、わかりやすい情報をいかに患者に届けるか、課題が浮かび上がった。 【図表】がんと診断、「どこで治療?」 病院選びに役立つ情報、自治体が発信 調査は2023年12月、がんの診断から10年未満、治療を3年以内に受け、がんの情報をオンラインで集めた経験があるといった条件を満たす全国の20~70代の患者約1千人を対象に実施した。情報を集める際の難しさや困りごと、入手先や方法、支援の状況について聞いた。 調査結果によると、オンライン上で情報を入手する際に困難を感じている(感じていた)と答えたのは「常に」と「一部」を合わせて45%だった。20~30代の若い世代や再発・増悪を経験した人、希少がんの患者の方が困難を感じている割合が高かった。 困難を感じていると答えた人のうち、ウェブサイトの情報での困りごとや不便な点としては、「自分に合った情報を見つけることができない」、「さまざまな情報が分散して掲載されている」、「専門用語が多い」が8割以上に上った。情報を調べるうえで困る点は「どの情報を信用してよいかわからない」が8割超だった。 使う媒体は、グーグルやヤフーなどの「検索エンジン」が94%と多く、ユーチューブなどの「動画共有サービス」が30%、X(旧ツイッター)などの「SNS」が17%だった。 20~30代は動画共有サービスやSNS、40代はSNSを使う割合が高かった。40代以下では動画、SNSともに、医療機関や医療従事者が発信する情報と、それ以外が発信する情報を閲覧する割合はほぼ同じくらいだった。 また、情報の「掲載/更新の時期・日付」「情報発信者」「科学的根拠」について確認していたのはそれぞれ6割ほど、「広告表示」「問い合わせ先の有無」を確認していたのはそれぞれ半数以下にとどまった。
朝日新聞社