本州で唯一“サルなし県”茨城でサルの目撃急増 交尾相手求めたオスが栃木から川を渡り?
日テレNEWS
本州では唯一、野生のサルの群れがいないとされている茨城県で今年、サルの目撃情報が増加しています。何が起きているのか、現地を取材しました。 ◇ 栃木・日光市。中禅寺湖近くの土産物店では… 土産物店 店員 「サルはお利口さんだから、がっつり(商品を)もっていっちゃう。毎日きます」 前日にもサルがまんじゅうなどを箱ごと奪い逃走。1日で5000円ほどの被害にあう日もあるといいます。脅かすため、おもちゃのエアガンを置き警戒していました。 酒店の店主 「ここに、ここに、ここに落ちていた」 酒店のバックヤードでは27日朝、サルが食べ残したとみられるバナナの皮が落ちていたといいます。 酒店の店主 「フンもあったし」 ◇ お隣の茨城・大子町では、今年に入りサルの目撃情報が急増しています。 サルが庭に出現した住宅では… サル被害にあった住民 「この辺におりました。50センチはありました。大きいわ」 その時の様子を撮影した映像に映っていたのは、花の咲いた庭を歩く大きなサルです。若いオスザルとみられています。何かを引っこ抜くとそれを両手でこすり、かぶりつきました。花壇に植えられた植物の球根を20個近く食べたというのです。民家から出てくると、低空で飛んできた鳥に驚くような姿も見せていました。 サル被害にあった住民 「そりゃびっくりよ。普段いないわよ。唯一サルが出ない県だったんだって」 実は、茨城県は本州では唯一、野生ザルの群れがいないという県です。去年、発表された全国のサルの分布図では、本州では茨城県だけ群れがいませんでした。 いったい、なぜなのか、サルの生態などに詳しい専門家に聞きました。 石巻専修大学理工学部 辻大和准教授 「基本的にサルっていうのは、その群れの行動圏の外に行こうとはまずありません。群れ全体が川を渡って茨城に行くってことは、非常に考えにくい」 元々、栃木県の西側に群れが多くいました。ただ、茨城県側には鬼怒川が、南側には利根川が流れているため、群れが川を越えることは考えにくく、茨城県にはいなかったとみられています。 しかし、この数年は茨城県での目撃情報が相次ぎ、今年度は9月26日時点で108件に上っています。過去最多となった昨年度に迫る勢いで、各地に出没しているのです。 “サルなし県”のはずの茨城でなぜ、多く目撃されているのでしょうか。 石巻専修大学理工学部 辻大和准教授 「オスはメスを、交尾相手を求めて旅をします。オス個体が単独で茨城県内をうろついていて、それが目撃されたのだと思う」 大人になったオスザルは繁殖相手を探すため、生まれ育った群れから離れて単独行動をします。その“離れザル”の一部が、川を渡って茨城県に迷い込んだ可能性があるというのです。 石巻専修大学理工学部 辻大和准教授 「(茨城県に)メスがいない以上、仮に茨城県に入ってきたとしても、そこで子どもをつくり増えることは考えにくい」 専門家によると、今年、特に目撃情報が多い理由はわかっていませんが、サルを発見しても目を合わせず刺激しないことが重要だということです。