「腸活は20代からスタートすべきなんです」腸の第一人者、小林弘幸医師インタビュー──連載:教えて!GQドクター
アスリートと腸活の関係
──アスリートが腸活に力を入れると、具体的にどのような成果が現れるのでしょうか。 まずは、一番に疲れにくくなるということ。疲労の回復度合いが違ってくることを体感しているのでしょうね。あとはメンタル面。イライラしなくなるとか、ゴルフなどは、プレーする上で冷静になることも大切ですから。 ──ゴルフも野球も、昔のアスリートは「朝まで飲んでそのまま試合に行く」という豪快な選手も多かったように記憶していますが、ずいぶん変わったんですね。 変わりましたね。スポーツの種類によっても違うと思いますが、ラグビーやサッカーのように激しいスポーツだと、食生活が乱れると特に影響が出やすいと思います。ゴルフで2回賞金王を取った今平周吾選手も、去年勝った時のインタビューで腸活について触れていました。 ──「腸をきれいにするとメンタル面もよくなる」と話していました。 腸活もやるかやらないかが重要ですよね。私はプロスポーツのチームドクターもやっているんですけど、選手達は皆、腸活は常識としてやっています。ラグビーやサッカー選手も、腸活はもう当たり前。10年前とは意識が全然違います。 ──腸活を怠ると、さまざまな病気の要因になるのでしょうか。 はい。生活習慣病や大腸がんなど、さまざまな病気につながる可能性があります。ただ、結果が見えにくく、変化がすぐにわからないので、なかなか腸活の重要性に気がつかない。たとえば血圧だったら血圧計ですぐに数値がわかるように、状態がわかりやすいと意識もしやすいんですけど。 ──食べることも運動も、即効性を期待せずに、やはり継続しないとダメということですね。 それが一番重要です。できれば日々のルーティーンとして組み込みたいので、まずは毎日ヨーグルト1個だけとか、簡単に続けられることを始めてみてほしいですね。私がいま提案しているのが、腸もみ呼吸法と全身のばしを毎朝30秒ずつやる「30秒腸活」です。30秒だったらできるだろうと。これをやるだけでもかなり違うと思います。 ──食、運動、睡眠、腸活。規則正しい生活に勝るものはないということですね。 はい、それに尽きますね。
小林弘幸 順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認ドクター。1960年、埼玉県生まれ。自律神経研究の第一人者として、アスリートやアーティストの指導も行う。日本初の「便秘外来」を設立するなど、腸の重要性について早くから着目。近著に『お腹が弱い人のための30秒腸活』(アスコム)がある。 文・梅津有希子、編集・神谷 晃(GQ)