スズキの最高に楽しい特定小型原付「スズライド/スズカーゴ」はあれからどうなった? 市販化の可能性を訊いてみた!
自動車ライター大音 安弘が、今みんなが気になる次世代モビリティの開発背景や魅力に迫る連載。第3回目は、スズキのコンセプトモデル「スズライド/スズカーゴ」を紹介する。果たして両モデルは市販化される可能性があるのだろうか? 【写真】スズライドとスズカーゴのディテールをじっくり見る!(全20枚)
スズキが提案する2つの特定小型原付!
昨秋に開催されたジャパンモビリティショー2023(JMS2023)では、スズキが世界初披露した電動小型モビリティのコンセプトモデルに注目が集まった。それが「SUZU-RIDE(スズライド)」と「SUZU-CARGO(スズカーゴ)」だ。これらは近年、ジムニーやハスラーといったギア感の高いモデルが人気となっている、同社らしい遊び心に溢れた世代の電動小型モビリティだ。スズキの狙いと今後の展望について取材した。 スズキが提案するこの2台は、特定小型原動機付自転車(特定小型原付)として設計されている。この規格は今、電動キックボードを中心に展開される新たなカテゴリーの乗りものとなっている。 開発した背景には、自社がすでに販売している商品に課題があったからだという。スズキは長年、ハンドル形電動車いす「セニアカー」を手掛けてきたが、ハンディキャップを抱える人を含めた幅広いユーザーに対応する構造であることや、最大速度が6km/hに制限されること、そして、大きな荷物が載せられないなど、身近な小型モビリティとしてニーズに応えられていない一面があった。そのため、新たなモビリティの形を模索していたそうだ。 そんな中、スズキは電動キックボードに適した特定小型原付の法制化の動きをキャッチ。その定格内※に収まるスズキならではの一人乗りモビリティを作るべく、開発がスタートした。そうして具現化されたのが、これらのコンセプトモデルなのだ。 ※特定小型原付の定格は、出力0.6kW以下で、全長1900mm、全幅600mm以下、かつ最高速度が20km/h以下であれば、ホイールの数は問われない。 ■SUZU-RIDE SUZU-RIDEは、「“生活”と“遊び”の電動パーソナルモビリティを目指し開発。電動キックボードのような手軽さを持ちながら、転倒しづらい4輪車とした。ポップなデザインとシンプルな構造を持つ、4輪スクーターのような存在だが、シートとなるボックス部の内部は、110Lの収納スペースを確保するなど、機能性も重視されている。まさに日常生活の相棒的存在だ。 ■SUZU-CARGO いっぽう、よりサイズの大きいSUZU-CARGOは、「“生活”と“遊び”のクロスオーバー電動マルチユースモビリティ」がコンセプト。ホイールベースを延長することで、後部に175Lの荷台を設けているのが特徴だ。荷台のサイドカバーにも工夫があり、取付を変更することでサイドテーブルとなる機能もある。まさに趣味や仕事の現場でのちょっとした作業スペースやベースキャンプにもなる仕掛けなのだ。またボディの大きさを活かし、SUZU-RIDEよりも電池を多く搭載できるのも強みだ。