トヨタが「認証不正」で会見 「6項目中5項目」は基準より厳しい数値で申請!? 具体的な内容は? 認証制度改革も必要か
その中でトヨタでは、同日に会見を行いました。会見冒頭では豊田章男会長が次のように述べています。 「今回、法規に沿った認証とは異なる方法で聞いたことが判明し、5月31日に国土交通省にご報告いたしました。今回の事案はトヨタ自動車とトヨタ自動車東日本の2社にまたがる問題でございます。 ダイハツ、日野、豊田自動織機に続き、グループ内で問題が発生しておりますことに対しまして、トヨタグループの責任者として、お客様、クルマファン全てのステークホルダーの皆様に心よりお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」 なおトヨタは2024年1月末に「トヨタグループビジョン」を発表していますが、その後豊田章男会長は、トヨタ、日野、ダイハツ、豊田自動織機を中心に認証をテーマをにした「トヨタ生産方式 TPS 実習研究会」を実施したと言います。 そこでは、認証に関わる業務の中で特に不具合が多く発生している工程に着目し、ものと情報の流れ、図を見える化することでの課題を見つけ出し、改善に取り組んでいるようです。
●今回のトヨタの不正内容は? 何が問題点なのか?
今回、トヨタは6項目の事案を明らかにしました。 1つ目の事案は「エアバッグをタイマー着火した開発試験データを認証申請に使用」です、 これは2014年のクラウン(生産終了)における「前面衝突時の乗員保護試験」と、2015年のアイシス(生産終了)の「オフセット衝突時の乗員保護試験」です。 宮本氏によれば、クラウンとアイシスのモデルチェンジの際にエアバッグをタイマー着工した開発試実験データを認証申請に使用したもので、アイシスでの理由として「試験の基準よりも厳しい衝突条件を作り出すためにタイマー着火する方法を用いました(宮本氏)」と話しています。 クラウンに関しては「試験用のテストで確実にエアバッグを展開させるためにタイマー着火という手法を用いました(宮本氏)」と話します。 なおいずれも「本来ならばもう1度認証試験としてお客様にお渡しするクルマに限りなく、近い状態で試験を実施し、そのデータを提出することが必要でした(宮本氏)」と述べています。 また2つ目は「規定と異なる衝撃角度」となり、車種はカローラアクシオ/カローラフィールダー(生産中)です。 宮本氏によれば「歩行者頭部および脚部保護試験により厳しい試験条件の開発試験データを認証申請に使ってしまった」と言います。 具体的には、法規では衝撃角度が50度だったの対してそれよりも厳しい衝撃角度65度という厳しい状況でのテストデータを使ったとのことです。 3つ目は、「選定と左右逆の打点、左右片側試験を両側に代用」となり、カローラアクシオ/カローラフィールダー(生産中)、シエンタ(生産終了)、クラウン(生産終了)が対象となります。 宮本氏によれば「認証で申請した測定部位と実際にぶつけた位置が左右で逆のデータを使ったことや、片側のデータを両側分のデータとして認証申請に使用しました。ただ車両の左右で結果に差が出ない試験項目ということが確認できております」と話しています。 この理由について「測定位置の決定は事前に認証機関に申請をし、合意をいただくプロセスを取っておりますが、開発途中での構造変更や技術的な検証が進む中で、測定時に変更に関する認証期間とのコミュニケーションが不足ついたこともあったと考えております(宮本氏)」と述べています。 4つ目の事案は、「規定と異なる台車重量」となり、シエンタ(生産終了)とクラウン(生産終了)が該当。 具体的には、前述同様に試験条件が厳しいものを用いた開発試験データを認証申請に使用したようで、数値的には法規基準の1100キロより重たい1800キロの評価用台車を使用し、より大きな衝撃で評価したようです。 次に5つ目の事案は、2020年のヤリスクロス(生産中)の「規定と異なるブロックで試験」において、古い積み荷ブロックの要件にて認証申請をしたものとなります。 これら5項目については、すでに生産を終了しているものも含め、社内での徹底的な検証において法規に定められている性能に問題無いことを確認しているようです。