「子の統合失調症は親が悪い」と言い切った医師は、はたして政治家として信ずるに足る人物なのか?
その医師が衆院選の候補者に
さて、その医師の姿をユーチューブなどで頻繁に拝見するようになったのは、今年7月の東京都知事選からです。立候補してコロナワクチンの後遺症などについて勢いよく訴える姿は、悩んでいる方々にとっては救世主のように思えたことでしょう。 だがはたして、その発言が本当に悩める国民に寄り添うものなのか、そして政治家として信ずるに足る人物なのか…。 もちろん医師としての振る舞いや治療法がたまたまミーのには合わなかっただけという可能性もありますし、この十数年の間、患者や保護者に寄り添う医師になられたのかもしれません。 いずれにしても私の体験が、統合失調症の治療の上で人物を見るときの判断材料の一つになれば幸いです。 ちなみにこの医師は、東京都知事選に続き、10月27日投開票の衆院選にまた出馬していたようです。 さて、ミーのことです。ひと月ぶりに会ったミーは体重が増え、カロリー制限により差し入れは水以外はNG。両足切断のあの事故から10月で1年2ヶ月、歩く事が出来ないのですから体重増加も致し方ありません。 ミーは義足のリハビリができる病院への転院を望んでいますが、まだ実現せず、相談員からは「受け入れ可能の病院はあるが、空きがない」とのことで待つしかない状態です。 そんなときに、とても励まされる映画に出逢いました。「江里はみんなと生きていく」。登場する西田江里さんは生後すぐから、自力では食べることも排泄することも話すこともできない重い障害を抱えています。 その江里さんが保護者、そして周囲の人たちのサポートのおかげで一人暮らしを始めたのです。そこから指談を覚え、本や講演活動で「重い障害があっても地域で暮らしていけるよ」とご自身の体験を伝えています。 まさに医師のみならず、みんなが寄り添ってくれたことで自立できたのです。この江里さんとミーは年がひとつ違い、学年は一緒です。 ミーの面会の時にチラシを見せながら映画の話をし、「指談」を覚えてから自分の言葉で本を出したり、講演活動しているんだよ、と。 しきりに感心していた風のミーに「ミーも自分の体験を話したらきっと誰かの励みになるよ」と言いかけて、やめました。というのもそれは、ミーが自分でその気になってから、の話ですから(笑)。 11月4日「江里はみんなと生きていく」の映画終了後、アフタートークに出演します。お運びお待ち申し上げます。 https://eri-movie.com/ 文/神田香織
神田香織