男性本位のアダルト映像が影響...?性生活において「NO」と言いづらい日本の風潮と今後の課題について専門家が解説
日本人の性に関する理解度と意識は、諸外国に比べてどうなのだろう? 『性と恋愛』をテーマに行った意識調査の結果とともに、性をとりまく日本の現状を考える。 【写真】あなたを本当に愛してる?目を見て話す、家事をやってくれる...パートナーの「ベタ惚れ度♡」を測る15のサイン 話を伺った人…… 小野美智代(MICHIYO ONO): 公益財団法人ジョイセフ事務局次長。2003年よりNGOの広報として開発途上国の女性の現状、特にSRHRの課題に関する情報発信に従事。また、国内を対象にした意識向上プロジェクト「I LADY.」を始動。
“同意”についての理解不足問題
他国の現状や課題と比べてみると、日本では緊急避妊薬や経口中絶薬など、海外では当たり前のサービスに簡単にアクセスできない状況にあること、SRHR(性と生殖に関する健康と権利)に関する議論や法改正が国政の中で後回しにされがちであるということが見えてくる。そして、私たち自身、自分の性や体に関して「私が決める」「NOという権利もある」という概念が浸透しにくい社会であるということもだ。 世界のSRHR活動をけん引する日本生まれの国際協力NGO「ジョイセフ」の事務局次長である小野美智代さんはこう言う。 「ジョイセフでは、日本のSRHRの現状を知るために、『性と恋愛』をテーマに2019年、2021年、2023年に意識調査を行いました。今回、SRHRの中でも大事な項目の『性的同意』についても質問をしたところ、言葉の認知度や大切さへの理解は高まっていることがわかりました。一方、実際にどういうことを性的同意というのか理解できていない人が4割強もいたのです。 また、気分が乗らなくても性交渉に応じたことがあるという既婚女性が6割近くいることもわかりました。性的同意の基本的な考え方では、Yesという言葉での積極的な反応だけが“同意”とみなされます。沈黙や笑ってはぐらかすといった反応は同意ではないのです。諸外国では、同意がない性交渉はたとえ夫婦間であっても性犯罪にあたります。こういった人権に伴う意識や教育も含めて伝えていくことが、日本のSRHRの意識向上には必須だと考えています」