県総合防災訓練始まる 能登地震踏まえ人、物の搬送も 鹿児島県奄美大島
鹿児島県の2024年度総合防災訓練は25日、鹿児島県奄美大島の奄美市で始まった。同市での実施は11年ぶり。2日間の日程で、初日は海上自衛隊の多用途支援艦と輸送機による本土からの災害応急要員や車両の搬送訓練があった。搬送訓練は、今年1月1日に発生した能登半島地震を踏まえて初めて実施。26日は住民避難をはじめ、市内各所でさまざまな訓練が予定されている。 訓練への参加規模は、行政や警察、消防、自衛隊、海保、関連企業、地域住民など80機関・団体の計約1千人。初日の災害応急要員や車両の搬送訓練は、災害発生時の離島への迅速な搬送が目的。 能登半島地震では半島という地形的な特徴から、道路の寸断により陸の孤島となった被災地への救援や物資の搬送に遅れが発生。外海離島の奄美大島も同様の課題を抱えている。 車両輸送訓練では、前日に鹿児島港を出港した海自の多用途支援艦「あまくさ」=長崎県の佐世保地方隊所属=が25日午前8時、名瀬港3号岸壁(マリンタウン緑地公園前)に入港。県や県警本部など関係機関・企業の車両4台を、艦に搭載されたクレーンで岸壁に降ろした。 栄木博文艦長(48)は「災害時に円滑かつ迅速に対応できるようにするための訓練で、非常に有意義だった」と話した。
災害応急要員搬送では、県の災害派遣医療チーム(DMAT)の医師、看護師ら約50人を乗せた海自の輸送機「C-130R」=神奈川県の厚木航空基地所属=が午後1時35分、笠利町の奄美空港に着陸した。 乗り込んでいた医師や看護師は26日の訓練にも参加。国立病院機構鹿児島医療センターの田中秀樹医師(57)は「今回初めて搭乗したが、機体の揺れも強く感じ、商業用の飛行機に比べたら乗り心地はよくなかった。訓練でそのことを把握できたのは有意義。また、自衛隊の方の職務に対し、改めて敬意を感じた」と語った。
奄美の南海日日新聞