「LNGの役割明記を」日本ガス協会会長 脱炭素への中継に
日本ガス協会の会長に今年4月就任した内田高史氏(東京ガス会長)が21日までに産経新聞の取材に応じ、国の中長期のエネルギー政策の指針となる「第7次エネルギー基本計画」の策定に向け、LNG(液化天然ガス)の役割を明記することを求めた。主な一問一答は以下の通り。 --今月議論が始まった次期エネルギー基本計画に求めることは 「令和17年、22年の段階では火力、都市ガスともLNGはまだまだ必要だ。もし、基本計画で電源構成に占めるLNGの比重が下がれば、『日本はLNGを使わない』というメッセージを産ガス国に発信することになる。購買力が落ち、長期的な安定調達が難しくなってしまうので、役割をきちんと評価して位置付けてほしい」 --LNGが必要な理由は。脱炭素化へ向けた「中継役」と言われるが 「LNGは化石燃料だが、石炭や重油に比べ二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない。同じ化石燃料でもLNGを増やして、石炭と重油を減らすという燃料転換を進めることで、脱炭素化へのトランジション(移行段階)で、排出量を減らすことができる」 --発電所などから排出されたCO2を再利用する「合成メタン」の開発が進む 「現行のエネルギー基本計画では、12年時点で国内の都市ガスの1%は合成メタンでまかなうことになっている。今、世界中で合成メタンは開発が進められている。LNGを安定供給をしながら、合成メタンへの自然な切り替えが民間で進められているので、次期計画でも後押ししてほしい」 --脱炭素型のエネルギーはコストがかさみ、国民の暮らしにも影響がある 「脱炭素はお金をかけずにできることではない。コストについて政府が粘り強い説明をすべきではないか」 ◇ うちだ・たかし 東大卒。昭和54年東京ガス。副社長などを経て平成30年社長。令和5年会長。日本ガス協会では副会長を経て今年4月会長。千葉県出身。