DIC川村記念美術館が2025年1月下旬から休館へ。美術館運営の見直しのため
運営の効率化のため、「ダウンサイズ&リロケーション」を検討
DIC川村記念美術館を運営するDIC株式会社が、同美術館の運営を見直し、2025年1月下旬から休館することを発表した。 1990年に千葉県佐倉市で開館したDIC川村記念美術館は、現在754点の美術作品を所蔵しており、うち384点をDIC株式会社が保有している。美術館は、社会貢献活動の一環および同社が経営ビジョンに掲げる「彩りと快適」を象徴する存在のひとつとして長く運営されてきた。 いっぽうで、資本効率という側面においては必ずしも有効活用されておらず、社会的価値と経済的価値の両面から美術館の位置付けを再検討すべき時期にあるとの課題意識から、今年4月に設立された「価値共創委員会」において、美術館運営が審議されていた。同委員会による審議結果をまとめた助言を受け、8月27日に開催された取締役会において助言内容を協議した。 「価値共創委員会」から提出された助言内容では、同社が美術館を運営するには、「美術館の存在価値や目的、理念を明確化する必要があり、特に株主に対する説明責任が求められる」とし、「現在の当社業績、美術館と当社経営・事業との関係、投資家からの意見等を踏まえると、現状のまま美術館を維持、運営することは難しい」と判断。そして、「現実的に詳細検討すべき案は東京への移転を想定した「ダウンサイズ&リロケーション」もしくは「美術館運営の中止」を前提とした2つの案となる」としている。 取締役会は、今後の美術館運営に関して最終的な結論には達していないものの、運営の効率化のため、「ダウンサイズ&リロケーション」を具体的なオプションとして検討しつつ、「美術館運営の中止の可能性も排除せず、詳細検討を行う」ことを決定した。 そして、2024年内に今後の美術館運営について決定した後、速やかに決定内容を実行するため、2025年1月下旬から美術館を休館する。具体的な休館日程については後日発表される。
Art Beat News