【LiLiCoのこの映画、埋もらさせちゃダメ!】なんといっても、主演ふたりの芝居が素晴らしい! 『カラオケ行こ!』
TV『王様のブランチ』で2001年から映画コメンテーターとして出演するほか、マルチに活躍されているLiLiCoさん。これまでも数々の映画をナビゲートしてきたLiLiCoさんに、「これは絶対に観逃してほしくない!」という“埋もらせ厳禁”な映画について語っていただきます。 【全ての画像】『カラオケ行こ!』『すべて、至るところにある』
聡実役の齋藤潤さんには今後の活躍を心から期待してしまいました
今回は公開中の日本映画をひとつ、それに今週末から公開されるインターナショナルな1作を。まずは『カラオケ行こ!』。歌唱力ゼロのヤクザが合唱部の中学生にレッスンを受ける!?という同名コミックが原作の作品です。 中学校の合唱部部長を務める聡実は、変声期を迎えてスランプ気味。そんなときに、見知らぬヤクザの成田が彼に急接近。実は成田は所属する組織の組長が主催するカラオケ大会を控えており、その大会の最下位に課せられる罰ゲームを逃れるために、どうしても歌のレッスンが必要だったのです。おまけに成田の歌唱力はゼロなのに、勝負曲はカラオケでは難曲のX JAPAN「紅」。聡実はイヤイヤながらも歌唱指導を引き受けるのですが……。 設定からしてとんでもないけど、原作はあくまでインスパイア元。本作は山下敦弘監督と脚本家の野木亜紀子さんによるオリジナルエピソードになっています。主題歌として採用されたLittle Glee Monsterがカバーする「紅」も最高です。 まじめな合唱部部長さんとヤクザ。まったく合わないものを組み合わせることによって、妙なほのぼの感が漂うコメディですね。なんといっても、主演ふたりの芝居が素晴らしい! 綾野剛さんは言わずとしれた日本映画で活躍する40代俳優の代表格。そんな彼のフィルモグラフィの中でも、成田役は特殊な位置づけになるでしょう。歌のレッスンのカラオケを通じて、青春を再体験するヤクザという役が見事にハマっています。 そしてびっくりしたのが聡実役の齋藤潤さん。すごい、マジですごい。観たら一発で分かる華やかさと芝居のウマさ。他の10代俳優とは格が違うレベルです。変声期を迎えてスランプ気味の苦悩、ヤクザにからまれて困っているのに次第に交流が深まっていくくだり、そのどれもを彼がリードしていくのを観て、今後の活躍を心から期待してしまいました。“絶対注目の俳優現る!”ですね。