ウクライナ、クロアチアから戦闘車両60両取得へ 新旅団向け装備の確保に奔走
ウクライナは装甲車両を切実に必要としている。だから、クロアチアが冷戦時代にさかのぼる古い戦車や歩兵戦闘車を入れ替える用意が整ったことは、ウクライナの戦争努力にとって朗報だ。 クロアチア政府はドイツ政府との間で、ドイツから最新のレオパルト2A8戦車を調達する代わりに、保有するM-84戦車30両とM-80歩兵戦闘車30両を、スペアパーツや弾薬とともにウクライナに譲渡することで合意した。クロアチアの古い車両60両は実質的にドイツが買い取り、クロアチアはその代金をレオパルト2A8の取得費用の一部に充てることになる。 重量41.5tのM-84は旧ソ連製T-72戦車の旧ユーゴスラビア版である。重量約14tのM-80は旧ソ連製BMP-1歩兵戦闘車に対応する旧ユーゴスラビア製車両だ。ウクライナ軍はT-72とBMP-1を合わせて数百両運用しており、M-84とM-80を統合するのに支障はないだろう。 クロアチアから戦車と歩兵戦闘車が新たに60両届けば、ウクライナ軍は2個機械化大隊に配備できる(ロイター通信によると、クロアチアのイバン・アヌシッチ国防相はウクライナ軍への車両60両の引き渡しは年内にも実施できるとの見通しを示している)。最近、新編の第156独立歩兵旅団が機械化旅団に格上げされたのは偶然でないのかもしれない。 第156独立機械化旅団はウクライナ軍が新たに編成した14個旅団(各2000人規模)のひとつだ。うち少なくとも10個旅団は陸軍の旅団で、150番台のこれら陸軍新旅団のほとんどは軽装備の歩兵旅団として発足している。 ウクライナ軍の機械化旅団は、戦車31両、歩兵戦闘車93両が配備されるのが普通だ。10個機械化旅団なら戦車310両、歩兵戦闘車930両が必要になる。ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は9月時点で、西側諸国からの現行の援助では新たな14個旅団のうち4個旅団にすら十分に装備させることができないと訴えていた。戦車200両近く、歩兵戦闘車600両近くが不足していると推測される。 たしかに、ウクライナの産業界も新たな戦闘車両をいくらか生み出してはいる。主に、長期保管していた古い車両を引っ張り出し、装甲を追加したり射撃統制システムをより高性能なものに換装したりして改修するというやり方でだ。