ブルーバックス伝説の名著『統計でウソをつく法』100刷突破!
「統計学という秘密の言葉は、事実がものをいう社会では、人に訴える力が非常に大きいので、物ごとを評判にしたり、誇張したり、混乱させたり、また極度に単純化してしまうのによく利用されている」 「しかし、そういった言葉を正しく理解して使う人と、その言葉の意味がわかる人とがそろっていなければ、結果はナンセンスな言葉の遊びにすぎない」 あらゆる情報がデジタル化され、ウェブを介して飛び回る現代社会への警鐘かと思いきや、この一節は、1968年7月に刊行されたブルーバックス初期の名著、『統計でウソをつく法』の前書きからの引用です。 原著はさらにその14年前、1954年に書かれていますので、著者であるダレル・ハフさんの指摘は、時代を超えた名言といっても過言ではないでしょう。 それを裏づけるように、通巻番号120番の本書は現役バリバリのロングセラーで、累計部数も30万部を突破。電子版も好評を博しています。 そして、2019年3月4日付の重版で、なんと101刷に到達。『相対性理論の世界』(通巻番号79、1966年8月刊)に続き、ブルーバックスで2つめの100刷突破書目となりました! 「ウソには3種類ある──ウソ、みえすいたウソ、そして統計だ」 19世紀末に二度にわたって英国首相を務めたベンジャミン・ディズレーリは、こんな言葉を残しているそうです。 だまされないためには、まずだます方法を知ること──本書のキャッチフレーズは、今なおみずみずしさを失っていません。既読の方も未読の方も、ぜひこの機会に、手にとってみてください。 といっても、少しは中身をチェックしてから買うかどうか決めたい、というのも人情というもの。 次ページから、本書のサワリ部分をご紹介しましょう(ここでいう「サワリ」は、「導入部分」ではなく、本来の「大事な要点部分」という意味で使っています)。
グラフを使った「ウソをつく法」
国民所得が1年にどのように変化したかを示すとしよう。 ただこのことを表すだけでよいというのなら、このグラフで十分である。 しかし、相手を説得し、見る人をびっくりさせ、実際に行動に駆り立て、 何かを売りつけたいという場合ならどうだろう。 それでは下の方をちょん切ってしまおう。 数字は同じだから曲線も同じであり、したがって同じグラフである。 何も変えられてはいない──グラフから受ける印象を別にすれば。 さてせっかくだまし方をおぼえ始めたのだから、グラフの端をカットするだけでやめる手はない。 これとはくらべものにならないくらい効果のあるトリックがあるのだから。 これは、ただ、タテ軸とヨコ軸との比率を変えればよいのである。 これに対する制約など何もないし、これを使えばグラフはずっとすっきりする。