擬革紙の歴史、紙芝居で 江戸時代、三重・明和など参宮土産で人気
保存・継承グループが制作、今後電子化も 全5部、小学高学年以上向け 学校に配布へ
江戸時代、たばこ入れなどに使われ参宮土産として人気だった三重県の伝統工芸品「擬革紙（ぎかくし）」の伝承活動をする「参宮ブランド擬革紙の会」（堀木茂会長、13人）は現在、擬革紙や同会の歴史について学べる紙芝居「伊勢擬革紙」を制作している。完成後は、デジタル版を松阪市や明和町などの学校などに配布し、地域の文化を広く知ってもらおうと奮闘している。
擬革紙は、絞りや型付けなどによってしわを付けた和紙に着色を施し、革そっくりに加工した紙。1684（貞享元）年に、当時の多気郡新茶屋村（現明和町）の三島屋（後の三忠）の初代・堀木忠次郎が製造に着手したのが最初だといわれている。製造技術は一度失われたが、子孫の堀木会長（75）＝新茶屋＝をはじめ、地域の人たちが研究し復活。2009（平成21）年に有志で同会を立ち上げた。 紙芝居の制作の案は5年ほど前から出ており、今年は会の発足15年、県の伝統工芸品の指定10年に当たることから、記念事業の一環として実施することにした。公益財団法人岡田文化財団の助成金事業として行っている。 紙芝居は、さまざまな団体や関係者と協力しながら制作。本居宣長記念館や松浦武四郎記念館、松阪市立歴史民俗資料館などから指導も受けながら行っている。
地元の中学生もイラストで協力
小学校高学年以上を対象に▶Ⅰ＝伊勢擬革紙の歴史と現在（約15分）▶Ⅱ＝なぜ今 和紙か 伊勢擬革紙か（約10分）▶Ⅲ＝たくさんの人たちに愛されてきた伊勢擬革紙（同）▶Ⅳ＝伊勢擬革紙を生み出した街道（同）▶Ⅴ＝参宮ブランド擬革紙の会の活動（約15分）――の5部と、「手で触って感じる伊勢擬革紙」として、実際に違いを感じることができる作品も用意している。 「伊勢擬革紙を通して、考えてみる、やってみる」を大事にしており、地域の宝物・擬革紙を再認識してもらうとともに、その歴史やこれまでの活動を見ながら「諦めない力」「真実を見分ける力」「自律的に答えを探し出す力」を育めるようにと、「Q＆A形式」ではなく、自分なりの答えを探す構成となっているのが特徴。イラストは度会郡玉城町の美術塾アトリエ・コバの協力の下、一部を地域の中学生が担当するなどしている。
