<フィギュアスケート>浅田真央 復活の裏にコーチの叱責
そのときは、「ムーッとして聞いていた」(佐藤コーチ)という浅田だが、必要なエッセンスだけはしっかりと胸に刻んでいた。「先生(佐藤コーチ)からその話を聞いて、『自分は何もそういうの(病気など)がないのだから、できないことはない』と思った」 ■佐藤コーチの厳しい声でスイッチが入る 朝の氷上練習で「体が動いていなくて、大丈夫かなと思った。これでは、練習していないようなものだと思った」と、反省した浅田は、陸上トレーニングに行って体を動かし、赤飯を食べ、昼寝をした。お腹が満たされ、体も休まった。これでリフレッシュは完了した。開き直りの気持ちにもなっていた。 浅田のFSの6分間練習は夜8時から。朝練習の際の佐藤コーチの厳しい声で、気持ちにスイッチの入っていた浅田は、FSの6分間練習の時点でSPとは違う手応えを感じていた。 「昨日(のSP)は、終わった後、言葉にならず、今まで何をやってきたのだろう、と思った。本当にずっと悩み、自分の中にすごいプレッシャーを感じていたけれど、フリーでは覚悟を決めて『よし!』と思ってリンクに立った。最終的にはもう、やるしかないと思った。自分を信じて、練習してきたことを信じて、SPのようなことになってもとにかく跳ぶ、という気持ちを持って滑った」 ■最高の演技で4年前の自分へのリベンジを果たす FSでは、青の衣装を身にまとった。最初のトリプルアクセルで、見事に着氷すると、続く3回転フリップ-3回転ループのコンビネーションもスムーズに成功。苦手の3回転ルッツでは、丁寧にアウトエッジを使って踏み切り、これもしっかり着氷した。 この後は、バンクーバー五輪後に、一から取り組んできた、スケーティングやステップ、スピンの見せ場。表現力を着実に身につけていることをアピールすると、ダブルアクセル-3回転トゥループ、3回転サルコウ、3回転フリップ-2回転ループ-2回転ループの3連続ジャンプを次々と成功させていった。