<フィギュアスケート>浅田真央 復活の裏にコーチの叱責
フィギュアスケート女子シングルで、浅田真央がショートプログラム(SP)16位から10人をごぼう抜きする会心のフリースケーティング(FS)を演じ、6位入賞を果たした。FSの得点は、自己ベストとなる142.71で、FSだけなら3位。「自分の中での最高の演技ができた」という浅田は、演技終了後、天を仰いで号泣した。 SPで信じられないようなミスを連発した浅田が、一日で立ち直れたのはなぜか。きっかけは、FS当日朝の練習にあった。 ■朝の練習に遅刻 眠れない夜が影響 選手村から歩いて約15分。さほど遠いとは言えない練習リンクに、浅田は遅刻して到着した。確かに、SPが終わったのは、前夜11時半。選手村に帰ったのは24時半だった。その後、スタッフとのミーティングも行ったため、就寝時間が遅かったのは事実だ。「その前も寝不足でしたから」(浅田)と言うように、SP前夜に、あまり眠れなかったことも影響していたのだろう。 それにしても、ピリッとしない。大ベテランの佐藤コーチの目には、浅田が危機的心理状況にあると映った。だから、あえて声を荒らげた。「試合はまだ3分の1しか終わっていないんだ! 3分の2が残っているのだから、もうちょっと気合を入れないとダメだ!」 「半分」ではなく「3分の1」というのは、「点数を見ると、SPは60点から70点、フリーは140点ということで、SPはフリーのちょうど半分。だから3分の1しか終わっていないということ」(佐藤コーチ) ■過去に指導した選手のエピソードを聞かせる 練習後は、1980年レークプラシッド五輪の際に、指導した松村充さんのエピソードを、話して聞かせた。「松村は、SPの後に扁桃腺を腫らして2日間寝込んだ。練習もできなければ、食事も摂れなかったが、『何かあったら、私がリンクまで助けに行くから』と言って送り出したFSで、人生ベストの滑りをした」