大雪だけど「乗れて良かった」と思ったら…特急に一日缶詰めにされた記者 発車と停車繰り返し…食料も水も少なく、心細くて寝付けず
5日からの大雪の影響で、中央線や飯田線で運休が相次いだ。 中央東線の特急あずさ、かいじは計6本が5日から6日にかけて10時間以上にわたって駅で動けない状態となり、乗客計1600人以上が車中泊した。JR東日本長野支社によると、このうち、雪が強まった5日午後、富士見駅と茅野駅(茅野市)で停車中の特急あずさが最大約11時間以上にわたって動けなくなり、乗客計約130人が車内で一夜を過ごした。特急あずさは、6日午後1時過ぎから運転を再開。5日には東京に出張予定だった本紙記者が特急あずさに乗車し、車内で一晩を過ごした。車内の様子の様子を伝える。 【写真】松本駅の列車運休の案内
5日は取材のために東京に向かおうと、JR茅野駅(茅野市)午後3時18分発の特急あずさに乗車した。雪は降り続いていたが、この時点では中央東線は動いており「乗れて良かった」と思ったのもつかの間、午後3時半ごろにあずさがJR小淵沢駅(山梨県北杜市)で止まった。
雪の重みで竹が倒れた影響という。外に目をやるとしんしんと雪が降っていた。「待つしかない」と車内でパソコンを開き、仕事をして時間をつぶした。
午後7時ごろ、乗客に非常食のリンゴ味のパンと500ミリリットルのペットボトルの水1本が配られた。「非常食をもらうのなんて初めて」とパンを口に運ぶ乗客もいた。
運行再開の見通しは立っておらず、午後8時前に、小淵沢駅で小海線に乗り換え、佐久平駅で北陸新幹線に接続できる―との案内があった。この時点で多くの乗客が降りたが自分は残った。SNS(交流サイト)で情報を収集すると、中央東線の各所で電車が立ち往生しているとの投稿があった。
6日午前3時10分ごろ、急に動き出したが、2駅先の日野春駅(北杜市)で再停車した。寝付けず、食料や水も少なくなって心細かった。ストレッチをしたりふくらはぎをもんだりして、エコノミー症候群に気をつけた。
朝になり、動き出したあずさは甲府駅(甲府市)へ。乗車していた車両は、下り線に回り、甲府駅で後発の車両に乗り換えた。午前9時ごろには新宿に向けて出発。安心していると、塩山駅(山梨県甲州市)でまた止まった。山梨県内で架線トラブルがあったという。午前11時過ぎようやく動き出した。(渡辺真康)