洗車天国ニッポン! アメリカは「水ジャブジャブ」の洗車なんてもってのほかだった
かけ流し洗車が許されている日本は世界でも珍しい恵まれた環境
クルマ好きの楽しみといえば愛車の洗車があるだろう。毎週末に天気さえ問題なければ、まさに趣味のように愛車を磨き上げるという人も少なくないはずである。筆者の自宅マンションは各棟にあるごみ集積場でそこにある水道を使って住人ならば洗車していいことになっている。水道にホースをつなぎ、かけ流しで愛車カローラを磨き上げるときは、まさに至福の時間のひとつである。 【写真】洗車の鉄板アイテムだけどどんなモノ? セーム革ってなんだ? もちろん日本のクルマ好きすべてが筆者のような施設の利用や自宅車庫でのかけ流し洗車ができるわけではないが、それでも「かけ流し洗車」ができる日本は世界的にはかなりカーライフにとっては恵まれた環境ともいえるのである。 南カリフォルニア地域だけではなく、砂漠の真ん中にあるネバダ州ラスベガスなどでも、日本のコイン洗車場や、プロが仕上げる洗車場以外での洗車は禁じられている。そのため、ロサンゼルス地域ではホームセンター駐車場内にいくつもの機器が用意されたコイン洗車場や、砂漠のなかにある小さな街でも「コイン洗車場」があり、このような場所でみんなが愛車を楽しく洗っているシーンは、日本のコイン洗車場やガソリンスタンドのセルフ洗車機でもお馴染みの光景といえよう。 ロサンゼルス地域在住の知人によると、行政当局による「ウォーターポリス」のような組織が常に各家庭の水の使い方をチェックしているとのこと。「自宅でかけ流しでの洗車はもってのほかですが、たとえば自宅前のスプリンクラーの放水ノズルがズレていて、自宅前の路上に水が流れていくだけで罰金の対象となります」と話してくれた。とにかく自宅敷地内から道路に水が流れ出すことは水の無駄使いとなり取り締まりの対象となるようだ。
日本人の憧れ「プール付きの一軒家」は敬遠されがち
また、アメリカの一軒家といえば、敷地内にプールがあって当たり前とのイメージもあるが……、「日本から新たに駐在員としてやってくる日本人は決まったように『プール付きの家に住みたい』と不動産屋にリクエストするそうですが、地元民からはプール付きの家は敬遠されがちです」(知人)とのこと。 自宅敷地内でありながらプールから水があふれる「漏水」は取り締まりの対象となるよう。使わないときでも水を抜いてはいけないとのことで(消火用にも使うため?)、漏水だけではなく、水面に浮いた落ち葉などの回収や蚊の発生予防など、衛生面の管理も厳しく要求され、手間がかなりかかるというのである。 このような事情は家庭だけではなく、建物内の水道にも広く対策が講じられている。ホテルに泊まれば、洗面台やシャワーは節水タイプノズルとなり、目に見えて流れてくる水が少ないことがわかる。また、知人は料理の際に使った水(コメのとぎ汁など)をキッチンで流さずにとっておき、スプリンクラーの水ではなく、この水を芝生にまいていた。 人口の多いロサンゼルス地域を離れ、砂漠の真ん中のモーテルに泊まると、ロサンゼルス地域より水道から勢いよく水が出てきているなと感じることがある。ラスベガスでは大きい人工池で噴水によりアトラクションを見せるホテルもあるが(繰り返し使っているようだが)、一時は人口が急激に増えてしまい、水道供給に問題が生じることも頻繁に起こっていたそう。 節水に心がけるように行政当局の管理が厳しいとはいえ、砂漠のなか(ロサンゼルス地域もそもそも砂漠地帯)なのに、温かいシャワーを問題なく浴びていると、アメリカの底力というが、その凄さを筆者は感じている。
小林敦志