<王者への道>2020センバツ・中京大中京 「補食」パワーで冬乗り切る マネジャー3人が手作り /愛知
第92回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)に出場する中京大中京高の選手たちが練習の合間などに食べる食事は、野球部マネジャーが作る。必要な栄養やエネルギーを満たすため、通常の食事だけでは足りないものを補う、いわゆる「補食」が好評だ。選手たちは補食で寒い季節の練習を乗り切り、体作りにも生かしている。【三浦研吾】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 ◇先輩のレシピ受け継ぎ マネジャーの3人は、土日祝日の夕方に選手たちに提供する豚汁を作るため、前日から食材を近くの八百屋から買ってきて、野菜を切るなどの仕込みをする。具材は大根、にんじん、こんにゃく、ごぼう、豚肉。味も好みに合わせ、赤みそ、赤と白の合わせみそを使い分ける。 2年生の加藤砂羅さんと新宮美沙希さんが主に作り、1年の平田沙椰さんも手伝いながら覚えているという。加藤さんは「選手から『おいしかったよ。ありがとう』と言ってもらえるとうれしい」、買い出し担当の平田さんも「大量の野菜を買い込んでくるのが大変なので、『おいしい』と言ってもらえると頑張って良かったと思う。甲子園でも頑張ってほしい」と笑顔を見せる。他にもカレーや、2019年からメニューに加わった中華スープがあり、2日連続で同じメニューにならないようにしている。 同校野球部の今村陽一部長(39)は「空腹の時間を作らないようにしている」と補食の意図を明かす。今村部長が同校野球部員だったころから補食はあったが、食べる物がインスタント麺だったこともあり「これで良いのだろうか」と当時は懐疑的だったという。 野球部での補食が栄養面を考えた今のスタイルに変わったのは11年冬。当時のマネジャー、長坂美里さん(24)によると、「冬に部員が寒そうに間食していたので、練習の合間に温かい物を出してあげたい」と発案したといい、ぜんざいなども考えたが、ご飯に合うものということで豚汁に決めた。同期のマネジャー、石田紗也さん(23)とともに冬に豚汁を振る舞い、レシピなども後輩に残した。今年の1月末に母校のグラウンドを訪れ、豚汁を食べた2人は「豚汁を受け継いでくれていてうれしい」と話した。 選手たちは家からおにぎりなどを持参し、夕方に出される補食と一緒に食べる。豚汁が一番好きという松島元希投手(2年)は「寒い時期に食べるので体も温まり、よりおいしく感じる。作ってくれるマネジャーに感謝している」と話した。