「防災バッグ」には何を入れればいいのか…全国の被災地で活躍する「防災のプロ」が常に持ち歩いている物
■初めての防災対策はゆるくていい 自宅用の防災品で欠かせないのが水だ。辻さんによると、10日間で1人当たり30リットルを目安とし、多めに40リットルの保管を勧める。この水は日常生活でも消費するが、使ったら必ず補充するのが鉄則という。 食料は2週間分を目安に準備し、食材、カトラリー、カセットコンロ、カセットボンベ一式をセットで用意すると、すぐに取り出して使えて便利だ。 トイレ対策として第2回で紹介した簡易トイレに使うペットシーツ、ゴミ袋、新聞紙は大量にストックしておくことをおすすめする。 辻さんは停電した時に備えて、単3電池と単1電池、ソーラーライトやランタンのほかモバイルバッテリーや電池式ラジオも準備している。 全国各地で防災の講演活動もしている辻さんによると、地震大国・日本であっても備えをしている人は1割程度しかいないという。 「私の話を聞いた人はみなさん、スイッチが入って、“絶対やります”って言うんですよね。滑り止めシートとか買ったりするようですけど、買った時のまま丸まった状態になっていたりする(笑)。一度にやると、しんどくなるから防災対策は雑でいいんですよ。ゆるいやる気で一つずつやっていきましょう」 ---------- 辻 直美(つじ・なおみ) 国際災害レスキューナース 一般社団法人育母塾代表理事。吹田市民病院勤務時代に阪神・淡路大震災で被災、実家が全壊する。その後赴任した聖路加国際病院救命救急部で地下鉄サリン事件の救命活動にあたり、本格的に災害医療活動を始める。東日本大震災や西日本豪雨などで救助を行う。現在はフリーランスのナースとして国内での講演、病院や企業や行政にむけて防災教育をメインに活動中。全面監修した防災リュックも販売している。著書に『レスキューナースが教える プチプラ防災』(扶桑社)など。 ----------
国際災害レスキューナース 辻 直美 文・構成=ライター・中沢弘子