養殖のうなぎはほぼ“オス”!? 名古屋で生まれた奇跡の「“めす”うなぎ」が言葉を失うほど絶品なワケ
●特許取得の養殖手法で育てられた「めすうなぎ」がおいしい理由とは?
うなぎの王国と称される愛知県一色町は、うなぎの養殖が盛んな場所です。一般的に流通している養殖のうなぎは、ほとんど「おす」と言われています。それでも極めて稀に「めす」のうなぎが育つことがあり、その味わいは言葉を失うほど絶品! なのだとか。 「めすうなぎ」の写真をもっと見る このうなぎを育てられたら……。そこで愛知県、大学、製薬会社などがメンバーとなり、国の研究プロジェクトを立ち上げ、6年もの歳月をかけて「めすうなぎ」の養殖に成功。安定した養殖を実現し、技術開発を確立した奇跡のうなぎなのです。
“めす”に育つ理由は大豆イソフラボンのおかげ!?
研究の発端となったのは、1980年代頃からうなぎの稚魚(シラスウナギ)の採捕量が減少したため。天然資源の減少が危惧されている背景から、大切な天然資源を活かすために1匹1匹のうなぎを大きく育てる研究がスタートしました。 生産者に負担がなく、天然由来の原料の中で様々な方法を試し、最終的に豆腐や豆乳など大豆を原料とする製品に含まれる「大豆イソフラボン」が有効であるという結論に。それをエサに混ぜることで、めすのうなぎが育つようになったそうです。 さらに、エサも良く食べ、身も大きく、元気に育つというメリットも。大豆イソフラボンは女性の味方と言われていますが、まさか、うなぎにも有効だとは驚きですね。
今回『Makuake』で見つけたのが、こちらの「めすうなぎ」(現在は終了しています)。330g以上(焼く前の状態)のめすうなぎを「葵うなぎ」というブランドとして展開していますので、気になる方はネット通販などでも探してみてください。
お箸ごしでわかるくらい、身がふわっと柔らかで、しっとり。皮も柔らかで脂のりも絶妙です。「めす」と「おす」を科学的に比べると、「うま味の元となるアミノ酸量」が多く含まれているため、濃厚で雑味が少ないのが特徴なのだとか。
大きく育てば育つだけ、味も淡泊になるのかな? と漠然としたイメージありましたが、めすうなぎはタレにごまかされることなく、旨みたっぷりで香り豊か。改めて、うなぎはご馳走だなぁと実感する満足度の高い一品でした。 安定した量産が実現すれば、新たな日本のブランドうなぎとして全国的に愛される日も近いのではないかと、期待せずにはいられません。
●DATA 山河一色めすうなぎ研究所
撮影・文◎亀井亜衣子