巨人解雇のロペスが横浜で蘇る
ベネズエラコミュニティ創出による環境変化
横浜DeNAの浮沈の鍵を握るのが、巨人から移籍してきたホセ・ロペス(31)だ。 4番は新キャプテン、筒香嘉智で固まっているが、ロペスは「一塁・5番」が、最有力のクリーンナップ候補の一人。そのロペスが巨人時代以上に活躍する条件が揃いつつある。 最も大きなものが環境の整備だ。 通訳には、元ペルー大使館に勤務していたスペイン語のスペシャリストが就任した。巨人時代は、ロペスには英語の通訳がついていた。ロペスは英語も堪能だが、やはりベネズエラの母国語の方が、コミュニケーションのミスもなくリラックスできる。 チームにベネズエラトリオがそろったことも大きい。バルディリス、モスコーソの2人がいずれもベネズエラ出身。ベネズエラトリオが揃えば、自然と会話も弾み、心地良い仲間意識が生まれ団結感が増す。外国人が働くかどうかの鍵のひとつが環境にあるといわれている。中日の外国人に当たり外れが少ないのは、ドミニカルートでドミニカ出身選手を集め、一種のコミュニティをチーム内に作ったことにある。孤独感もなくなり、グラウンド内外のストレスが減って安定した成績につながるのだ。 実際、ロペスはバルディリスと一緒に那覇市内の寿司屋に繰り出すなど、グラウンド外でもリラックスをする時間が作れている。 「まだ横浜のことは、1年目で何もわからないが、チームが強くなるには、自分も含めて選手同士がコミュニケーションをとって団結することが必要だろう」とロペスも言う。 加えてロペスのモチベーションも高い。「若いチームだ。練習していても楽しいね。チームが優勝できるように持てる力を発揮して貢献するだけだ」。沖縄に寒気団が押し寄せた第1クールから実戦や特打ち、特守などをすべてこなした。首脳陣からは、「どうする?まだ無理しなくていいぞ」と打診されていたが、常にロペスの答えは「やる!」。 紅白戦の途中では、下がることを許可されていたが、最後まで守りにつく。その姿勢は中畑監督以下、首脳陣を喜ばせているだけでなく、チームメイトの共感も呼んでいる。 また自己管理を怠らない。ハンバーグなどのファーストフードは一切口にせずに、体重を管理するなどストイックさを貫く。マリナーズ時代は、それができずに契約に体脂肪率の管理を付加された同じロペスとは思えぬ大変身である。