独自性あふれるKバレエ「くるみ割り人形」 貴公子ジュリアン・マッケイが客演
師走になると、クリスマスイブの出来事を描いたチャイコフスキー作曲「くるみ割り人形」のメロディーが街で聞こえるようになり、多くのバレエ団もこの時期、同作を上演する。 熊川哲也芸術監督率いる「Kバレエ トウキョウ」の「くるみ割り人形」は、マリー姫というヒロインが登場し、人形は実はマリー姫の婚約者で、呪いによって姿を変えられていたというオリジナリティーあふれる設定。細部にこだわった演出で大人も魅了される。 特に今年は、いま注目の若手ダンサー、ジュリアン・マッケイ(27)がくるみ割り人形と王子を客演し、チケット完売の人気ぶり。マッケイは米国出身でロシアの名門ボリショイ・バレエ・アカデミーに外国人として当時最年少の11歳で入学し、首席で卒業した実力の持ち主だ。 ローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップを獲得し、英国ロイヤル・バレエ団の研修生に。ロシアのミハイロフスキー・バレエ団に史上最年少ソリストとして入団し、現在はバイエルン国立バレエのプリンシパルという輝かしい経歴。甘いマスクとダイナミックな踊りで海外からの客演依頼も絶えないという。 熊川版「くるみ-」の見どころの一つは、人形軍とねずみたちとの戦闘シーンで、人形っぽい踊りをマッケイが好演。人形の国では王子に戻り、持ち味の華のある踊りで会場を沸かせた。相手役のマリー姫を演じた日高世菜は、その日本人離れした手足の長さを生かした優雅な踊りで観客を魅了していた。 一般的に「くるみ-」のバレエ公演の場合、観客席には子供の姿が目立つが、熊川版は成人女性の観客が圧倒的に多いのも特徴だ。 7日、東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホール。(水沼啓子)