PGAツアーの少数精鋭化に“上級”選手は好意的も“その他大勢”の選手から噴出する不安と不満 「あっという間に“B”に転落する」
「納得していないうちにモノゴトが決まった」
今回、発表された縮小化施策は、シード落ちの危機にさらされる可能性がきわめて小さいトッププレーヤーにとっては、試合進行がスムーズになり、試合においてもシーズンにおいても競争がより一層ハイレベルになるという意味で、大方、喜ばれている。 その一人、北アイルランド出身のローリー・マキロイは「人数は少なければ少ないほどいい」と絶賛している。 しかし、批判や反対意見のほうが圧倒的に多く、全米オープン覇者のルーカス・グローバーやメジャー3勝のパドレイグ・ハリントンらが「問題の本質はスロープレーだ」と怒りを交えながら指摘していることは、すでにお伝えした通りである。 そして、怒りの声は、その後も続々と上がり続けている。 PGAツアーのフェデックスカップ・フォール最終戦「RSMクラシック」で初優勝を達成したマーベリック・マクニーリーは、両親も本人も名門スタンフォード大学卒業という絵に描いたような米国のエリート一家の出身。論理的にモノゴトを捉え、分析するマクニーリーは他選手たちからの信頼もきわめて厚い。そんなマクニーリーも「納得していないうちにモノゴトが決まった」ことに、首を傾げている様子だ。 「26年からのチェンジも納得できていないけど、25年からシグネチャーイベントの出場枠が72名になったことも、まったく納得できない。(今季までは70名から80名だった)シグネチャーイベントも、僕は120名にしたほうがいいと考えていて、(選手会でも)そう主張してきた。120名でも十分に競争レベルは高くなると確信しているからだ。でも、いつの間にか、なぜか72名に決められ、発表された。なぜ72名がベストなのか、72名だと何がどういいのか。誰一人、僕を納得させることがないまま、72名になることが決定されていた」 また、24年のフェデックスカップ・ランキングを55位で終えた米国人選手のハリス・イングリッシュは、今でも選手間の格差が広がりつつあるPGAツアーが「今後は、PGAツアーAとPGAツアーBに分かれ、ギャップがさらに広がっていく」と先行きの不安を口にしている。 「今季の前半は僕は好調だったから、PGAツアーAに属していたのだと思う。でも、シーズン後半はやや調子を落としたら、あっという間にPGAツアーBに転落した。26年からシード選手が125名から100名に減らされ、コーン・フェリーツアーからの昇格も30名から20名に減らされたら、AとBの格差は、さらに広がっていく。なんとかPGAツアーに昇格できたルーキーは、早朝一番や午後の最後のスタートという悪条件で戦う上に、試合出場人数が減らされるため、ツアーに残れる確率は大きく下がり、ツアーには、ほぼAクラスしか残れないという厳しい状況になる。それは、Bクラス近辺の選手にとっては死活問題。いや、あまりにも厳しすぎる」