メンタルの不調を抱える人に癒しを届けたい。アートディレクターが自身のツライ経験をもとに立ち上げたハーブティーブランド【ROEROE(ロロの薬草店)】
2024年4月にハーブティーブランド「ROEROE(ロロの薬草店)」を創業したアートディレクターのセタユウジさん。なぜデザイナーがハーブに魅せられ、植物療法士の資格を取るに至ったのか? 「今後の人生はハーブとともに生きていきたい」と語るセタさんが目指す“五感が喜ぶハーブティーづくり”は私たちのライフスタイルをよりよくすることにも繋がりそう。 【画像】バラの花びらをふんだんに使ったハーブティー「ゴダール」。ストレスによる抑うつや不安をやわらげ、気分を高揚させてくれる。
突然襲った「心の風邪」。試行錯誤してハーブに出合う
アートディレクターとして多くの雑誌や広告制作に携わるセタユウジさん。ハイセンスな媒体を手がけ、やりがいを感じながら日々忙しく過ごすなかで、ある日突然不調に見舞われます。 専門医の診断は「パニック障害」。早期の治療のおかげで幸い大事には至らず、処方された薬を飲むことで症状は少しずつ改善していきます。しかし薬に頼りきりで治療をすすめることに抵抗を感じ、それまでの生き方を見直すことに。 不規則だった生活を改めて早寝早起きをし、朝はランニングを。自律神経をととのえるために呼吸法を取り入れたり、お香を焚いて瞑想をしたり、試行錯誤が続きます。 今までのライフスタイルをさまざまな角度から見直す中で出合ったのが、ハーブの力を使った植物療法。取り入れて効果を実感し、学校に通い植物療法士やアロマセラピストの資格を取得します。 さらに、最高のハーブを求めて全国の農家を訪ね歩くなか、北海道の生産者の畑で収穫を体験した際に、ハーブの力強くて素朴な美しさに圧倒されたそうです。そして「ハーブにはとてつもない力がある」と直感し、ハーブと関わって生きていきたいという強い衝動に駆られ、その後のブランド立ち上げに繋がっていくのです。
ストレスフルな社会でがんばっている人が活躍できる世の中にしたい
自らの辛く苦しい経験を通じて辿り着いた植物療法の世界。「デザイナーとして生きてきた自分がハーブに関わる意味はなんだろう」と自問自答を繰り返してみつけたのは、人を癒す素晴らしい効能のあるハーブに、「クリエイティブの力で付加価値を与えることではないか」ということ。暮らしの中で、ハーブを使うことに喜びが感じられるプロダクトを目指しました。 人間関係や仕事のストレスを抱え込みがちな生真面目な人が、気持ちよく毎日を迎え活躍できる世の中にしたい。メンタルの不調から立ち直る過程で学んだことや試してみてよかったことを、このブランドを通じて伝えていきたいと語るセタさん。 味にも徹底的にこだわり、「ハーブティーはおいしくない」という俗説を覆すために何度も試作を重ねて、今までにない“五感が喜ぶ”ハーブティーが完成したのです。 セタさんがハーブに興味を持ち始めたとき、正直言うと自分がほしいと思える商品がなかったそうです。少々野暮ったくて味気ないものばかり……。ここでデザイナーとしての本領が発揮されます。細部のデザインへのこだわりの最たるものは、BOXパッケージの蝋。 ひとつひとつ手仕事で蝋を溶かし、繊細な紐の上にスタンプを。効率を考えたらとてもできない手間のかかる作業ですが、同じ形のものはひとつとしてない、唯一無二のBOXに。シックで洗練されたパッケージは、大切な方への贈りものとしてもふさわしく、自分用に求めて暮らしのなかにあるだけで、気持ちが高揚してきます。