ブラックホール 活動期捉える 水沢VLBI観測所(奥州)など国際チーム ガンマ線フレア検出【岩手】
奥州市の国立天文台水沢VLBI観測所(本間希樹所長)の研究者を含む国際チームは、地球から約5500万光年離れた楕円(だえん)銀河M87の中心部から強力な「ガンマ線フレア」を検出した。電波望遠鏡や人工衛星など世界17の施設や観測所が参加した大規模な一斉観測によるもので、巨大ブラックホール(BH)が約10年ぶりの活動期を迎えたことを示す。研究者は「BHのメカニズムを知るための貴重な手掛かりを得た」と強調する。 ◇ ◇ 観測は、M87の巨大BHの撮影を2017年に初めて成功させた共同研究プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)をはじめ、東アジアVLBIネットワーク(EAVN)の電波望遠鏡など世界中の観測装置を使用して一斉に行い、撮影成功から1年後の18年の観測データを分析した。 確認されたガンマ線フレアは、BH周辺のガスの中で発生したもので、M87からの検出は約10年ぶり。活動が穏やかだった17年とは対照的で、人間の目で確認できる光(可視光線)の数千億倍。BHから膨大なエネルギーを一度にたくさん解放することは並大抵のことではないという。 水沢観測所客員研究員でEHTメンバーでもある名古屋市立大の秦和弘准教授は「電波の波長が異なるため、さまざまな観点で活動期を観測できる。強大なガンマ線フレアを捉えたことで、巨大BHの活動サイクルをひもとく上で重要な手掛かりになる。今後の観測と研究も期待できる」と語っている。 今回の成果は13日付の欧州天文学専門誌「アストロノミー・アンド・アストロフィジクス」に掲載された。