部員数減→合同チーム増…表面化するレベル差 選手の“気後れ”なくす「能力別指導」
部員274人の中学軟式チーム「川口クラブ」は能力・経験別に3カテゴリーで指導
野球歴に違いがあっても選手が楽しみや成長を実感し、高校でも競技を続ける選手を増やす仕組みとなっている。埼玉県川口市の中学軟式クラブチーム「川口クラブ」は、「トップ・ミドル・育成」と選手を3つのカテゴリーに分けている。力の拮抗した選手とプレーすることで向上心や自尊心が高まり、練習の効率化にもつながるという。 【動画】「難易度高い」ペッパーを簡単に 元プロ実演…中学初心者も取り組める“超実用的”練習法 川口クラブは川口市内の中学生を中心に274人が所属。中学の部活動を補完しながら、部活動の地域移行に対応する役割を担っている。クラブの特徴には、選手の経験や能力に応じてカテゴリーを3つに分けた運営がある。「トップ」はレギュラー争いがし烈で、大会での優勝を目指す。「ミドル」は自信を深め、トップに上がっていく。「育成」は練習をメインに技術を身に付けて経験を積む方針を掲げている。 どのカテゴリーに属するのかは選手に希望を聞いた上で、指導者と話し合うケースもある。例えば、トップでのプレーを望む選手に「練習にはついていけると思うけど、試合に出る機会は減るかもしれない。それでも大丈夫?」と確認する時もあるという。川口市立芝東中学の野球部顧問で、川口クラブのGMを務める武田尚大さんが、カテゴリー分けをするメリットを説明する。 「上手い選手は、自分よりレベルの高い選手を知ることで向上心が生まれます。逆に普段の部活で上手い選手に気を使っている選手は、同じレベルの選手たちの中で自信をつけ、主役になるチャンスがあります。部活と川口クラブ、それぞれで学べることがあると思っています。カテゴリーによって課題が違うので、レベルに合った練習を組めるところも良さです」 川口クラブの選手たちは基本的に中学校の野球部に所属し、部活がない日時にクラブで練習をしている。川口市内の野球部は部員数が減少し、合同チームでの活動が増えているという。試合経験が豊富な選手と、フライ捕球にも苦労するような初心者の選手が同じチームでプレーすると、互いに難しさがある。だが、川口クラブでは能力の近い選手同士で練習するため、部活とは違った目標設定ができる。