東京都知事選挙の序盤戦で戦略くっきり…小池氏は「公務」重視、蓮舫氏は繁華街で演説
過去最多の56人が立候補した東京都知事選(7月7日投開票)は23日、告示後初の「選挙サンデー」を迎え、各候補者はあいにくの雨の中、街頭で熱弁を振るった。序盤戦の動きを追うと、各陣営の戦略や狙いが見えてきた。 【ひと目で分かる】都知事選の立候補者数と歴代知事
告示日の20日は出発式を行っただけで都庁に戻った現職の小池百合子候補(71)。4月の衆院東京15区補選で、一部の政治団体から演説妨害に遭ったことを理由に挙げたが、現職らしく「公務優先」の姿勢を貫き、確実に支持を固める思惑もある。
公務は都庁に籠もるだけでなく、現場視察に重点を置く。同行するメディアを通じて、2期8年の実績や今後取り組みたい施策をアピールする狙いが透けて見える。街頭演説は週末が中心で、23日は奥多摩町のダムを視察後、JR奥多摩駅前など2か所で演説。2019年の台風19号の被害に触れ、「都民の命と暮らしを守る」と訴えた。
小池候補を自主支援する自民党や公明党は裏方に徹する。23日も応援でマイクを握ったのは、地元選出の自民議員でなく地元の首長だけ。自民都連幹部は「表には出ないが、各種団体に支援を呼びかけている」と明かし、公明関係者は「都議を中心に地方議員が支持層固めにフル回転している」と話す。
一方、前参院議員の蓮舫候補(56)は、繁華街での街頭演説に力を入れる。喉を痛めないよう、1日1~2か所のペースだが、本人が話す時間を多くとっている。
演説は告示直前に離党した立憲民主党が仕切る。「反自民」の姿勢を強調し、21日には萩生田光一・自民都連会長の地元の八王子市で、自民派閥の政治資金規正法違反事件を批判した。
ただ、支援を受ける共産党の露出は抑え気味だ。陣営関係者は「左派色が強いと無党派層に敬遠される」と明かす。23日の錦糸町駅前(墨田区)での演説には、共産の吉良佳子参院議員を応援弁士に迎え、「自民と一緒に都知事を目指す人には絶対に勝ちたい」と訴えたが、今回の選挙戦で共産議員と並んだのは初めてだった。