「アントニオ猪木さんが言っていた“闘いを忘れるな”」引退から4年半…獣神サンダー・ライガーが語った新日本ストロングスタイル【週刊プロレス】
引退後は時折、TV解説を務めている獣神サンダー・ライガー。リングを離れて4年半。1990年代からジュニアヘビー級を支え、その地位を押し上げてきた“世界の獣神”には、現在の新日本プロレスはどのように見えているのだろうか(聞き手・橋爪哲也)。 【超貴重写真】プロテクターをつけた獣神ライガー
――特に若手を指導するわけでもないライガーさんですが、現在の新日本プロレスはどのように映っていますか? ライガー 今の新日本プロレスは、今の新日本プロレスです。僕たちが育って、リングにレギュラーとして上がっていた頃はもう、前の新日本プロレス。僕はそれでいいと思う。見に来てくれているファンの皆さんが「今の新日本プロレスは面白い」って見てくれたら、それが最高。プロレスはガス灯時代から始まって、日本プロレスの時代、BI砲(ジャイアント馬場、アントニオ猪木)の時代があって、藤波さん、長州さんがあって。新日本もいろいろと変化してきてる。ファイトスタイルもそう。その時代その時代のファンが見て「面白い」って思っていただければそれでいい。だから「今のプロレスは……」っていう資格は俺にはない。 ――何よりもファンに支持されないことには、自己満足で終わってしまいますもんね。 ライガー だから、ファンが面白いって思ってくれるものを提供しないと。「つまんないね、最近」って言われたら負け。そう言われないようにいろいろリサーチしたり、技を磨いたりしてもらいたいですね。 ――“昭和の新日本プロレス”で育ったライガーさんからして、この部分だけは忘れてほしくない、崩してほしくないものはありますか? ライガー やっぱり猪木さんが言われた「プロレスは闘いだよ」ということ。それは忘れちゃダメ。そこが一番大事。新日本プロレスって何? ストロングスタイルって何? 闘いなんですよ。リングでは闘ってるんです。闘い、怒り、それを忘れちゃダメ。猪木さんにそう言われましたし、それが新日本プロレス。猪木さんがなぜ新日本プロレスを創ったのか。馬場さんへのライバル心とかいろんなものがあったでしょうけど、闘いを前面に押し出すスタイルがやりたかったというのもあったでしょう。「キング・オブ・スポーツ」だとか「ストロングスタイル」だとか言ったのはそこだと思う。それは絶対に忘れちゃダメだと思う。その周りをいろいろショーアップしたり、自分のカラーに染めるのはいい。それは個性だから。でも、その奥にある闘いを忘れて外側の部分だけでやってたら、ファンは愛想をつかすと思う。新日本プロレスの原点、それは闘いであり怒りだと思う。 ――それは格闘技の原点でもありますよね。“こんちくしょう!”“お前には負けないぞ!”という部分。「なんだ、この野郎!」って、昔の猪木さんでよくものまねされてましたけど。 ライガー それはあると思いますよ。そういうところは猪木さんの遺言じゃないですけど、大事にしないといけないところじゃないかな。(つづく)
週刊プロレス編集部