ハリス氏がホワイトハウス近くで大規模集会、トランプ氏について「国民を分裂させてきた」
【ワシントン=田島大志】11月5日投開票の米大統領選まで、29日で残り1週間となった。民主党候補のハリス副大統領は同日、ワシントンのホワイトハウス近くで大規模集会を開き、共和党候補のトランプ前大統領を「国民を分裂させてきた」と批判し、融和を訴えた。トランプ氏もフロリダ州で演説し、不法移民問題を巡りハリス氏の責任を追及した。
大統領選は過去まれにみる大接戦となっている。米政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」の29日時点の世論調査平均によると、トランプ氏の全米での支持率は48・4%、ハリス氏が48・0%でほぼ並んでいる。
ハリス氏がワシントンで野外の選挙集会を開くのは今回が初めてだ。会場には、2021年1月の米連邦議会占拠事件の直前にトランプ氏が演説し、支持者に議会に向かうよう扇動したのと同じ場所を選んだ。
ハリス氏は「トランプは4年前、まさにこの場所に立ち、民意を覆すため暴徒を議会に送り込んだ人物だ。この選挙は自由の国にするのか、混乱と分裂の国にするのかという選択だ」と訴えた。投票先を決めていない有権者に事件を想起させ、民主主義を重視する姿勢をアピールする狙いがある。
一方、トランプ氏は29日、フロリダ州の邸宅「マール・ア・ラーゴ」で演説し、不法移民の犯罪対策を発表した。インフレ(物価上昇)と並んでハリス氏が担当してきた移民問題を主要テーマに据える構えで、「この国の基盤が破壊されている。国境で起こっていることが最大の争点だ」と強調した。
トランプ氏が27日にニューヨークで開いた集会では、登壇したコメディアンが米自治領プエルトリコを「ゴミの島」と発言し、波紋を広げた。トランプ氏は29日の演説でこの発言に触れず、集会については「愛にあふれた祭りに関われたことは誇りだった」と述べた。
今後は、全体の勝敗を決める激戦7州での浮動票獲得が焦点となる。両氏は残る1週間、激戦州に連日入り支持を訴える予定だ。