新生「ヘルムート ラング」発売 ピーター・ドゥが語る「着る人や社会とリンクする服」
「ヘルムート ラング」と「ピーター ドゥ」
2つを無理矢理差別化する必要はない
「WWD」:自身が手掛ける「ピーター ドゥ」も、ミニマルなスタイルやモノトーン中心のカラーパレットなど、「ヘルムート ラング」との共通点が多いように感じる。どう差別化するのか? ピーター:私が手掛ける以上、2つのブランドに共通点があるのは当然のこと。2つを無理矢理差別化する必要はないと思っている。クリエイションの舞台をパリからニューヨークにヘルムート・ラングと、夢を抱いてベトナムから来日してニューヨークにたどり着いた私は、共にニューヨークに魅力を感じたわけだから、共通点もあるだろう。「ヘルムート ラング」と「ピーター ドゥ」のクリエイション・プロセスやポジショニングを差別化するため、ロジカルに考えようとも思っていない。ただ、2つのブランドはビジネス規模も違うし、価格帯も異なっている。「ヘルムート ラング」にはアーカイブに基づくスタイルコードがあるから、双方を私が手がけていても、結果は異なるものになるだろう。「プラダ(PRADA)」と「ミュウミュウ(MIU MIU)」のような関係になれば、と思う。ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)は2つのブランドを自由に行き来しているし、ファンにはそれぞれの違いを感じ取った上で「プラダ」も「ミュウミュウ」も大好きという人がいるだろうから。
「WWD」:伊勢丹新宿本店で開催したポップアップには、朝からファンが来店した。ファースト・コレクションの初速は順調なようだ。 ピーター:私が感銘を受けた「ヘルムート ラング」を、もう一度多くの人たちに知ってほしい。ここ数年、「ヘルムート ラング」は迷走したり、少しおとなしかったりの時が長かった。若い世代には「ヘルムート ラング」を知ってほしいし、昔ファンだった人たちにはかつてのアイデンティティやスタイルコードを取り戻しつつあることを訴えたい。デザインチームも、新しい挑戦を共に楽しんでくれている。私も、「ヘルムート ラング」と「ピーター ドゥ」の両立に慣れてきたところだ。