経済不調にも関わらず、習近平政権が「腐敗撲滅」を進めるのはなぜか
ここで腐敗を取り除かなければ先に進めない
飯田)いままでは、みんな腐敗しているなかで回してきたのだと思いますが、この先回っていくのですか? 中川)パイが増えていくなかで、腐敗も容認しながら大きくしていこうという方針だったのだと思います。しかし経済不調も含め、GDPも当然下がってくる。経済が不調でなかろうと、ある程度成熟したら下がってきますよね。だから、ここで腐敗を出さずにいつ出すのだという話です。本当に政権自体が危なくなってくるので、ここでやらなければいけないという思いがあるのでしょう。
日本のデフレを学んだ上で経済不調になっている中国
飯田)不動産の資産価格が下がり、信用不安が起こると、各国にも中国のデフレが輸出されるのではないかと言われています。日本も他人事ではないですよね。 中川)日本は賃金が上がり、インフレ傾向になってきたけれど、中国発のデフレに影響されたら日本は完全に煽りを受けてしまいます。中国は「建国100年を迎える2049年までに世界をリードする」という目標に向けて反腐敗闘争を続けていますが、彼らの都合でデフレになり、そのデフレが我々に輸出されたら「たまったものではない」と思います。しかし、我々にはコントロールできないですよね。 飯田)デフレの怖さについて、我々は30年経ってようやく出口が見えてきました。「甘く見ていると、2049年までデフレになってしまうぞ」と思うのですが。 中川)日本では「(中国が)日本から全然学んでいない」という論調が多いのですが、学んでいるとは思います。学んだ上で「やらざるを得ないこと」をやっているのでしょう。 飯田)そこも天秤なのですか? 中川)当然です。知らずにやっていると考える方が逆に難しい。知った上で、これだけの経済不調になっているのだと思います。逆に言えば、10年放っておいたら本当に死ぬデフレになるでしょうね。