【リニア】『部分開業』めぐり川勝知事とJRが「バトル」 静岡市長は知事をやんわり批判「静岡には止まらない、言及する必要ない」/今週の静岡
そして、この根本にあるのが、リニアの開業時期をめぐる「部分開業論争」なのです。 JR東海 丹羽俊介社長(1月18日):「部分開業については従前から申し上げている通り、これを行う考えはございません。仮に限定的な区間だけ開業する場合があっても、車両基地や指令設備の整備など、開業のための多くの設備をセットで完成させる必要があったり、試運転や運営体制をはじめ、確認すべきことが数多くある」
これまでJR東海が頑なに否定してきた“部分開業”。これに対し、川勝知事は29日月曜日の会見で疑問を投げかけたのです。 静岡県 川勝平太知事(1月29日):「なぜ2027年以降であるかの説明が、静岡工区が遅れているためだということだったので、言い換えると2027年までに東京から山梨まで、また長野から愛知までは完成できるということ。しかし、それは使わないと。なぜかというと、名古屋までつながっていないから。どう考えますかね? ですから、考え方によっては、甲府から品川までサービスしたらいいのでは、という意見が出てくるのもありえる」 つまり、静岡を挟んで東西のエリアではリニアが運航できる状態になるため、だったら営業すれば良いというのが川勝知事の考え方です。
JRの目的は「のぞみ」機能のリニアへの移管
ただ、JR東海側は先週開かれた川勝知事に対する「反撃会見」で、“リニアを開業する目的”をあげています。 JR東海 木村中専務執行役員(1月24日 静岡市):「やはり新幹線と交差している品川‐名古屋が、第1局面として行って、これも最小単位と言えると思うが、その上で、品川‐名古屋‐大阪を結んでいくということで、この東海道新幹線と交わらないような部分で部分開業を行っていくというのは、そもそも、その機能は私どものこれを進めてる目的からしても、そういったことはないということ」
リニア新幹線の開業目的の1つに、現在の東海道新幹線の「のぞみ」機能をリニアに移管する狙いがあります。つまり、これは品川~名古屋間を通すことで初めて意味を成すというのが、JR東海側の考え方です。 一方で、川勝知事は静岡工区以外の工事も、2027年に間に合わないのではと指摘しています。JR東海によると、去年9月末時点で全線の用地取得率はおよそ70%。発生土の活用先については80%が確定していて、残りの複数の発生土については協議が進められている段階です。