課長が毎日残業していて心配です。課長クラスになると残業代が出ないと聞いたのですが、それって本当ですか?
課長クラスになると残業代が出ないと聞いたことがあるものの、それは本当なのか、気になっている人もいるのではないでしょうか。 企業には、管理監督者に対して残業代を支払わなくてよいという決まりがありますが、管理監督者は役職名で決まるわけではない点に注意が必要です。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは? 本記事では、課長になると残業代が支給されないのかどうかについて解説します。
課長は残業代支給がないのか
労働基準法では、労働者が1日8時間・週40時間を超えて労働した場合、週に1日の法定休日に労働した場合、22時~5時の深夜に労働した場合において、原則として会社は労働者に残業代を支払わなくてはいけません。 ただし、「管理監督者」に対しては、深夜残業代を除いた法定時間外残業代と法定休日残業代の支払いをしなくてよいと定められています。なお、管理監督者は、経営者との一体性・労働時間の裁量・対価の正当性の3つの条件を満たす必要があり、管理職だからといって管理監督者に該当するわけではない点に留意が必要です。 経営者との一体性は「会社の経営上の決定に加わり、労務管理上の決定権限を持っていること」、労働時間の裁量は「自分の労働時間を決められる裁量があること」、対価の正当性は「管理監督者にふさわしい給与をもらっていること」といえるでしょう。 これら3つの条件を満たしている場合は、残業代が支払われないことに違法性はありませんが、業務量が多く、労働時間の裁量権がない場合や、課長ならではの仕事ではなく、現場作業など、一般社員と同じ業務が中心になっている場合などは管理監督者とはいえません。 上記のようなケースでは、会社に対して残業代の請求が可能です。中には、「会社の規定で、課長以上の役職を持っている人には残業代を支給しない決まり」といわれる場合もあるでしょう。 しかし、会社が規定を作成していても、管理監督者としての条件を満たしていなければ残業代を請求する権利があるため、引き下がらずに残業代を支払うよう、会社に掛け合うことが大切です。