劇団俳優座創立80周年記念式典開催、戦中から令和の80年の歩みを振り返る
劇団俳優座創立80周年記念式典が10日、東京・六本木の俳優座劇場で開かれ、劇団員約80人、関係者ら約250人が出席、戦中から令和の80年の歩みの重みをかみしめた。
劇団俳優座は1944年2月、演出家の青山杉作さん、千田是也さん、俳優東野英治郎さんら同人10人で立ち上げ、戦後の46年に第1回公演。以降、日本を代表する新劇の劇団として、数多くの俳優、演出家らを輩出してきたことでも知られる。
式典では、劇団が産声を上げた経緯や、54年に俳優座劇場がオープンし、俳優養成所が動きだすなどの歴史を俳優たちのエピソードを踏まえて紹介。養成所第1期生の中村たつ(96)は入所するための試験を寺の庫裏で受けたとき「パントマイムがうまくいかず、千田さんに『好きなようにおやり』と言われた」とユーモアたっぷりに明かした。 劇団代表でもある岩崎加根子(92)は「たつさんに憧れて演劇を始めようとしたが、親に反対され、千田先生に説得してもらった」と当時を懐かしんだ。 会場の俳優座劇場は来年4月に閉館するが、あいさつに立った劇団俳優座社長の有馬理恵(52)は「私たちが守れなくて申し訳ない気持ちです。私たちがもっともっと頑張って新たな俳優座劇場を立ち上げられるような劇団になりたいと思います」とアピール。その上で3年間にわたる80周年記念事業に絡め「来年は地方公演100回実施します。100年先、200年先に向けて演劇を続けていきます」と熱く宣言した。 最後に岩崎が谷川俊太郎作の詩「生きる」を1人朗読劇として披露、情感あふれるメッセージを発信して式典を締めくくった。
中日スポーツ