「史上最悪のシーズンだったよ」大谷翔平が消えた“エンゼルスの今”…球団ワースト99敗、番記者に聞いた「ファンはオオタニにモヤモヤ」「スタジアムはガラガラ」
「今のオオタニを応援できるファンは少ない」
大谷を手放したことだけでなく、移籍後のビジョンをまるで欠いていた点も批判されているようだ。若い選手たちに有望選手がいればまだ希望が持てる。しかし、ニック記者はエンゼルスの選手育成に対しても手厳しい。 「何人かの選手は良いシーズンを送ったね。たとえば23歳の遊撃手、ザック・ネトや、24歳の捕手、ローガン・オーハッピー。2人の有望選手の活躍は素晴らしいけど、勘違いしちゃいけないのは、彼らの登場は偶然だったということ。エンゼルスの若手育成が功を奏したというわけではなく、運が良かっただけなんだよ。なぜならエンゼルスは、選手スカウトの体制やマイナーリーグの育成、コーチング向上にまったく投資してこなかったのだから。だけど、チームが競争力を取り戻すためには、ネトやオーハッピーのような選手をあと10人くらい育てないといけない」 チームは負け続け、3年後、5年後の明るい未来を想像すらできない。ニック記者が指摘するように、エンゼルスファンはやり場のない苛立ちを募らせているだろう。さらにテレビをつければ――昨年までアナハイムで目が覚めるようなホームランを見せてくれた大谷は――彼らが最もコンプレックスを抱く青いユニフォームを纏い、怒涛のごとく打っている。そして、ドジャースのファンから愛されてもいる。 「オオタニを失ったことはエンゼルスファンにとって大きなショックだったと思うよ。しかも移籍先が……同じロサンゼルスで遥かに成功していて、エンゼルスファンが劣等感を感じているドジャースだった。ドジャースはエンゼルスよりずっと強い。モレノをはじめ幹部のチーム編成にフラストレーションが溜まっていく一方で、ドジャースの編成本部長、アンドリュー・フリードマンは非常に有能で投資がことごとく成功しているというおまけ付きだ。『エンゼルスで活躍したオオタニに感謝したい、離れても応援し続けたい。なのに、よりによってなぜドジャースなんだ……』というのがファンの正直な気持ちじゃないかな。今もオオタニを温かく応援できるファンは少ないと思う。なんとも言い表しにくい、複雑な感情が渦巻いているはずだよ」 そう言われると、エンゼルスファンの本心に俄然興味が湧いてくる。直接尋ねるよりほかはないだろう。さっそく何人かにコンタクトを取ると、一人の熱烈なエンゼルスファンが取材を承諾してくれた。 <続く>
(「メジャーリーグPRESS」田中仰 = 文)
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