【阪神】原口文仁、チーム救う得点演出 先制点を「足」と「手」で導き、7回は文句なし2号ソロ
<日本生命セ・パ交流戦:オリックス0-5阪神>◇13日◇京セラドーム大阪 今度は文句なしだ。4-0の7回。阪神原口文仁内野手(32)の打球は、虎党が待つ左翼席に飛び込んだ。「初球から自分のスイングができるように準備していました。追加点がほしいとベンチでも言っていたので、良かったです」。スタメンは今季4度目だったが、代打のスペシャリストらしい集中力。今季最長の8試合ノーアーチだったチームを元気づける2号で、ダメ押しの5点目を加えた。 幻を現実にした。2回1死で、大飛球は左翼ポールの上空を通過したが、判定はファウル。岡田監督も不満げな表情を隠さなかった。この打席は気を取り直して四球。4回にも先頭で四球を選ぶと、今度は走者として、「足と手」で先制点を導いた。 0-0の1死二、三塁、梅野の遊ゴロで本塁に突入。タイミングは完全アウトだった。だが、ミットを伸ばす若月の腕の上から、左腕をかぶせるようにして本塁にタッチ。頭から突っ込むつもりだったが、返球とのタイミングがずれ、“神の手生還”が決まった。「イメージと全然違うスライディングになってしまったけど、うまくかいくぐれました」。これがチームにとって3試合ぶり、23イニングぶりの得点。重いムードを振り払う好走塁で、一挙4得点の猛攻につなげた。 昨年9月、父秀一さんが亡くなった。最期の方は会話はできなかったが、見舞うたびに誓っていた。ホームランボールを持ってくるからと…。「どうしても1本目を仏前に持って行きたかった。でも去年は打てなくて…。やっとです」。今年5月16日の中日戦(バンテリンドーム)。6年ぶりに4番に座った試合で3ランを放った。関係者を通じて客席からの回収をお願いすると、試合中にベンチに返ってきた。「本当にありがたかったです」。ファンを含め、携わった多くの人に頭を下げた。 元気がない野手陣の中で1発も勝負強さもある。「本当にダメ押しやけどな。ええ仕事したよ、原口」。岡田監督もにんまりの仕事人ぶりを発揮した。【柏原誠】