米財務省、暗号資産税の新たな申告ルール最終決定
米財務省が暗号資産税の新たな申告ルール最終決定
米財務省が、取引所や決済代行業者を含む暗号資産ブローカーに対し、利用者のデジタル資産の売買や交換に関する新たな情報を内国歳入庁(IRS)に報告するよう求める規則を6月28日最終決定した。 この新しい規則は、納税を怠っている可能性のある暗号資産ユーザーの取り締まりを目的としており、1兆ドルの超党派法案「2021インフラ投資・雇用法」に由来する。法案が可決された時点では、この新ルールによって10年間で280億ドル近くの収入がもたらされると推定されていた。 財務省によると、この規則は来年2026年の確定申告シーズンから段階的に導入されるという。また同ルールは暗号資産に対する課税要件を、債券や株式など他の金融商品のブローカーに対する既存の税務報告要件と一致させるものだという。 財務省当局者によると、最終規則は当初の財務省の提案から修正され、ブローカーへの負担を一部制限し、段階的に新たな要件を導入することになった。また、ステーブルコイン(通常は米ドルなどの資産に固定されている暗号資産の一種)に関わる取引の報告には1万ドルのしきい値も含まれている。 昨年に財務省がこの規則を提案した際、暗号資産業界はコメントレター(意見書)キャンペーンを展開し、提案のブローカーの定義の範囲が広すぎること、要件が暗号資産所有者のプライバシーを侵害していると主張した。 財務省は、この提案に関する44,000件以上のコメントを検討したと述べた。また分散型暗号資産取引所(DEX)を含む非カストディアルブローカーの税務報告要件を確立するための追加規則を、今年後半には発行する予定であると財務省は述べた。 財務省は発表の中で、暗号資産所有者は「デジタル資産の売却または交換に対して常に税金を支払わなければならない」と強調し、新規則は「納税者が現行法の下で正確な申告と納税を行えるよう、報告要件を設けただけである」と述べた。 財務省によるとこの新規則は、納税者が税金を払う必要があるかどうかを判断するのに役立つ、「フォーム1099-DA」と呼ばれる新たな納税申告書を導入するとのこと。これにより暗号資産ユーザーが利益を判断するために複雑な計算を行う必要がなくなるとしている。 ブローカーはIRSとデジタル資産保有者の双方にフォームを送付し、納税準備を支援する必要がある。 国税庁は現在、暗号資産の利用者に対し、その取引が利益をもたらしたかどうかにかかわらず、多くのデジタル資産活動を確定申告で報告するよう求めている。この計算はユーザー自身が行う必要があり、デジタル資産が取引されるプラットフォームはその情報をIRSに提供しない。
大津賀新也(幻冬舎 あたらしい経済)