ペスカドーラ町田の甲斐修侍監督

1月8日、名古屋金城ふ頭アリーナにてFリーグ2023-2024 ディビジョン1ファイナルシーズン上位リーグ・第26節が行われ、ペスカドーラ町田とバルドラール浦安が対戦。町田は2-3で敗戦した。 勝ち点1以上でFリーグ初優勝が決まる町田が、浦安と対戦した。町田を追いかける名古屋オーシャンズが、ひとつ前の試合で勝利。怒涛の追い上げを見せる名古屋との直接対決を待たずに、今節優勝を決めることができるか。 序盤から激しい戦いを見せる両者。しかし12分には左サイドから突破され、クロスから失点を許す。その1分後、自陣でボールを奪われると立て続けに失点。ここでタイムアウトをを取った町田はリズムを立て直すも、2点差を縮めることができないまま試合を折り返す。 後半立ち上がりから相手のペースに持ち込まれるも、ジオヴァンニが好セーブを連発。追いかける町田は、25分には髙橋裕大がファーストタッチで相手を抜き去ると、逆サイドに展開する。ボールを受けたのは新成人・中村心之佑。一人かわして豪快に足を振り抜き1点差に追いついた。しかしその3分後にカウンターから失点し、再び2点差に。 試合終了間際にパワープレーを行うと、残り1分40秒で野村啓介が相手キーパーのニアを貫き、ゴールネットを揺らす。しかし最後は1点差を埋めることができず、悲願の初優勝は14日へと持ち越しとなった。 試合を終え、甲斐修侍監督と伊藤圭汰が記者会見に出席した。

名古屋に勝ってこそ本当のタイトル

●ペスカドーラ町田｜甲斐修侍監督 ──試合を振り返って。 今日のゲームはもともとすごく難しい試合になると思っていて、どんなにいい戦いをしても簡単ではないと思っていました。今季あまりないミスからの失点が続いてしまい、追い付くのが難しかったです。でも、引き分けでも可能性がある状況だったので、2点差でも最後まで可能性を探ってやっていました。 1点差からまた2点差になってしまったのは想定外でした。ゲームが苦しくなるポイントで失点してしまって、3点目が非常に大きかったと思います。パワープレーで点を取ったことで最後まで可能性は残せましたが、うまくいかなかったのは自分たちの力不足でした。 今日の試合は相手どうこうではなく、大分戦の時のようにメンタルコントロールが難しかったです。こういう経験は貴重ですし、若い選手たちが多いので。ただ「負けて悔しい」「タイトルを取る寸前でこういうことが起きたから悲劇だ」というよりは、むしろ次につなげたいと思います。 今日優勝を決められなかったからすべてが終わりといった雰囲気になりがちですけど、僕は最後の名古屋に勝ってこそ本当のタイトルだと最初から思っていたので。僕らの力が働かないなかで優勝が決まっていても、最後の名古屋戦は特別なものだと捉えてここまでやってきました。本当に最後までわからない状況でやれるので、今シーズンやってきた町田というチームが名古屋に対してどういう戦いができるかを個人的に楽しみにしていますし、選手たちも本番で迷うことなく存分に戦ってほしいと今から期待しています。 ──小宮山監督はジオヴァンニ選手の左足を追いかける練習をしていたと。 普段はもう少しマイボールを継続できたり、いいシーンを作れたりしますけど。本人も言っていましたが、本来しないミスが多く、プレスがきて困るというより、今まで通せたパスが通らなかった。特別今日の状況だったからうまくいかなかったというより、他の選手同様、ジオヴァンニもいつも通りではなかったという印象でした。 ──ジオヴァンニ選手は、今日の試合でかなり感情を表に出していたが。 ジオヴァンニに限らず、普段通りじゃない選手は何人かいました。それは逆にいったら当たり前に起こることで、そこで自分がどう修正するか、状況判断するかが、今後の課題でもあります。 タイトルを争う今日のようなゲームで、このような課題に直面するのは、今の順位にいないとできないこと。もちろん勝たないといけないプレッシャーや、勝ちたい思いはありますけど、そんな簡単じゃないと思っています。から回るなかでもなんとかコントロールして、余計な失点がない試合をするのが理想でした。 ただどこかで吹っ切れる瞬間があるなと思っていて、それが生まれる前にビハインドを背負ったことが想定外でした。バタバタ感は想定内でしたが、失点が先行したことで修正がより難しくなった。メンタルコンディションを整えるのは簡単ではなかったです。 ──高校生の青島選手を起用した意図と、1失点目に絡んだ後どんな声をかけたのか。 青島を記念で出しているつもりは全くなく、練習でもトップの選手を翻弄したり、スピードで圧倒したり、テクニックで違いを見せたりしていたので起用しました。僕はあいつがいいプレーをしても驚きではないし、フィジカルコンタクトのアドバンテージを受けて、ボールを奪われることも想定していました。それがたまたま失点につながったからといって、青島のパフォーマンスは問題だと思っていません。 （失点については）本人が乗り越えないといけない壁なので。この経験で凹むのか、ミスをしても次の瞬間には仕掛けるくらいのメンタリティが、今後問われていくと思います。起きたミスに対して僕はごちゃごちゃ言ったことはないですし、むしろ今日の経験をしたことで、次どういうメンタリティになっているか。僕が励ましてやる気にさせることではないと思っています。 もっとやってくれると思っていたイメージでいくとビビっていましたね。あの舞台で果敢に前を向いてやってくれると期待していたんですけど。前回の試合でも、最初は怖がることがありました。ミスをしたからまずいという概念では選手は育たないので、本人が自信もってプレーしてくれることを期待しています。

自分たちで試合を難しくしてしまった

●ペスカドーラ町田｜伊藤圭汰 ──試合を振り返って。 自分たちで難しくしてしまった試合でした。いつもないミスがあったり、いろんな感情があった試合でしたが、そこも含めて勝てなかったので僕らの力が足りなかったからだと思います。次の名古屋戦を楽しみに、また頑張りたいです。 ──この試合をどう次の名古屋戦につなげたいか。 名古屋が強いのはわかっていますし、経験は僕らよりはるかに多い。難しい試合を勝ってきたチームで、そこは僕らにはない部分かもしれません。ただ今季開幕から積み上げてきたものがあるので、自信をもってみんなでやるだけだと思います。