亡くなった西田敏行さん「あの風貌と笑顔は忘れない」…映画が撮影された大分県関係者からしのぶ声
今月17日に亡くなった俳優の西田敏行さん。大分県内でも、西田さんが出演した映画が撮影された。生前、関わりのあった人たちは、人なつっこく飾らない人柄をしのんだ。(堀伸一郎、大石健一) 【写真】ホテルに到着し、市民らの出迎えに笑顔で応じる西田敏行さん
2008年に佐伯市を中心にロケが行われた映画「釣りバカ日誌19」。市は「釣りバカ支援室」をつくり、撮影をバックアップした。武田晴美副市長(66)は、当時、同室の係長としてロケ隊を世話した。
西田さんは市内のホテルのロビーに入るなり疲れた顔からパッと明るい表情に変え、歓迎する市民の拍手に応えた。港でのロケでも、ごまだしうどんといった地域の特産品を用意した市民に「おばちゃん、これはおいしいな」と気さくに声をかけていた。
武田副市長は「役柄の『ハマちゃん』そのまま。明るく親しみやすい人だった」と振り返る。
西田さんは佐伯産のフグの刺し身を気に入り、映画の封切り後も取り寄せていたという。フグ料理を提供した柳井公二さん(74)は「同世代でもあり、残念」と死を悼んだ。
豊後高田市では17年に映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」のロケが行われ、出演した西田さんが1週間ほど滞在した。撮影に立ち会った同市の小野政文・地域活力創造課長(55)は「2月の撮影で、エキストラらに『お寒い中、ありがとうございます』と握手して回っていた。温かさを感じさせる人だった」と話す。
この映画で、西田さんは日本アカデミー賞の優秀助演男優賞を受賞。その後の宴席で人気ドラマ「西遊記」を見た思い出を話すと「見てくれてたの。懐かしいなあ」と喜んでくれたという。「大切な思い出。あの風貌と笑顔は忘れない」と冥福を祈った。