3メガバンク、最終利益3兆円突破 海外で利ざや拡大、円安・株高も追い風
5大銀行グループの令和6年3月期決算が15日、出そろった。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)など3メガバンクの合計の連結最終利益は3兆円を突破した。三菱UFJFGと三井住友フィナンシャルグループはいずれも過去最高を更新。貸出金利から預金などの調達金利を引いた利ざやが海外で拡大。脱炭素やデジタル分野を中心に企業の資金需要が旺盛で、歴史的な円安や株高も追い風となった。 今年3月には、日本銀行が17年ぶりの利上げとなるマイナス金利政策の解除を決定。国内でも「金利のある世界」への回帰が利ざやの拡大につながる。 15日に会見した三菱UFJFGの亀沢宏規社長は金利上昇局面を資産運用ビジネスの好機と捉え、「資産運用、資産管理の領域でさまざまなサービスを提供したい」と意欲を示した。 三井住友FGは7年3月期に三菱UFJFGに続き最終利益で1兆円超えを見込む。三井住友FGの中島達社長は「日本の経営者のマインドが前向きになっている」と語り、企業の積極的な投資が継続するとの見方を示した。 最終利益が過去2番目の高水準となったみずほフィナンシャルグループの木原正裕社長も「顧客、市場部門ともに好調に推移している」と説明した。 三井住友トラスト・ホールディングスは、最終利益が前期比1000億円以上の大幅減益。保有する投資信託の売却損が大きかったことが主な要因だ。本業のもうけを示す実質業務純益が増益のため、高倉透社長は「企業価値に影響はない」と強調した。 りそなホールディングスは資金需要の好転で本業の貸し出しが伸びた一方、取引先の貸し倒れに備えた与信コストの増加が響いた。一方、政策保有株式を12年3月までに簿価ベースで3分の2以上削減する新たな計画を発表。6年間で3000億円相当の資本を創出し、「次世代の成長に向けた投資を行って土台作りをしていく」(南昌宏社長)という。(宇野貴文)