リニア中央新幹線は「大雪の山梨」を走れるか
関東甲信が記録的な大雪に見舞われてから28日で2週間。いまだに一部で孤立地域の除雪や避難所の開設、道路の通行止めが続いている。特に長期、広域に渡って寸断した交通網には大きな課題が残された。1メートル超の積雪があった山梨県甲府地域は、JR東海が計画するリニア中央新幹線の走行ルートでもある。2027年の東京-名古屋間の開通はまだ先だが、多くの検討課題の中で今回のような「雪」はどう位置付けられるのだろう。 リニア新幹線計画、いまどうなっているの?
■計画路線は「豪雪地帯」のど真ん中 リニアは東京・品川駅を起点に神奈川、山梨、長野、岐阜各県の中間駅を通って名古屋駅に向かう。その計画路線を今回、大雪となった2月14日から3日間の解析雨量の画像や最深積雪量(東京管区気象台まとめ)と重ね合わせると、山梨県内で今回の「豪雪地帯」のど真ん中を通ることが分かる。(雨量データは必ずしも積雪と一致せず、静岡県中西部などでは、ほとんど雨となった模様で、東海道新幹線が走る静岡市では積雪が観測されていない) リニア山梨県駅予定地の甲府市内は、最深積雪114センチ。平年で14センチ、最も深くて49センチしか積もったことのない地域だ。こうした「想定外」のドカ雪にリニアはどう対応するつもりなのか。 ■「8割以上がトンネル、フード」だが… JR東海がまとめた環境影響評価の準備書では、「自然災害等への対応」として「降雨・降雪」の項目がある。しかし、内容は「防音壁設置箇所及び車両基地においては、散水消雪設備を設置して対応する」と書いてあるだけ。そこでJR東海にその詳細を聞く。 同社によれば、まず「走行区間の8割以上が地下またはトンネルであり、地上部のうち防音防災フードを設置している区間は雪害とは無縁」だという。それ以外のフードのない区間は「これまで新幹線や山梨リニア実験線で培った知見等に基づき、融雪装置を設置する予定ですが、具体的な仕様については今後さらに検討を進めて参ります」との回答だ。