患者暴行相次いだ精神科病院「滝山病院」再生なるか 同族経営脱却に続き名称も刷新
■転院、退院希望も
同病院が抱える問題の根深さをうかがわせる結果は、ある団体の設立にもつながる。市民団体「滝山病院にアクセスする会」は、同病院から転院、退院を希望する患者の支援を主な目的として昨年9月に結成された。
同会共同代表で精神保健福祉士の細江昌憲氏は「事件は職員個人がやったことにされているが、人を繰り返し傷付けてきた病院が組織として処分を受けないのは、社会正義に反する。けじめとして、一度つぶれるべきだ」と指摘。細江氏らは旧滝山病院に対して生活保護法による指定医療機関の指定を取り消す行政処分を行うよう八王子市に求めて署名を呼びかけ、全国から約5千筆にのぼる賛同が寄せられている。
こうした動きに同病院は産経新聞の取材に対し、「指定医療機関の指定の取り消しを受けるような法令違反はしていないと認識している」とし、同会の活動についても「誠に遺憾」と反論する。その上で、一連の虐待事件を招いたことは「患者さま、ご家族に大変なご迷惑をおかけし、おわび申し上げる」とし、現在は都の指導を受けながら「職員一同、全力で社会的信頼の回復に励んでいる」としている。(宇都木渉)