【マイルCS】善戦マン返上で戴冠のソウルラッシュ しかし陣営の仕上げにはまさかの〝誤算〟が…
[GⅠマイルチャンピオンシップ=2024年11月17日(日曜)3歳上、京都競馬場・芝外1600メートル] 【写真】内田理央の祝福に団野大成は満面の笑み! 17日、京都競馬場で行われた第41回GⅠマイルチャンピオンシップ(芝外1600メートル)は4番人気のソウルラッシュ(牡6・池江)が優勝。日本時間16日未明のバーレーン参戦からトンボ帰りで挑んだ若武者・団野に導かれ、7度目のGⅠ挑戦で悲願の初タイトルを手に入れた。勝ち時計1分32秒0(良)。ゴール直前、鞍上が〝早すぎる〟ガッツポーズで喜びを爆発させた背景にあった思いとは? 善戦マンを返上した同馬の今後の可能性とともに、検量室前の取材から検証する。
制裁受けるも喜び爆発のV
7度目のGⅠ挑戦でつかんだ悲願のビッグタイトル。直線入り口で進路が開けると、グイグイと力強く伸びた。ゴール直前、ソウルラッシュの勝利を確信した団野は派手なガッツポーズとともに雄たけびを上げて喜びを爆発。結果として〝早すぎる〟ガッツポーズは制裁対象(注意義務を怠ったため過怠金5万円)となったが、それも「このレースにかける思いはとても強いものがありました」という気持ちの表れだった。 「春(マイラーズC1着)は急きょの騎乗でしたが、今回は富士Sの後に乗れることが分かって、絶対に結果を残したいと思っていました。人気馬に乗ることのプレッシャーは感じていましたが、それも気持ちのいい時間だったかなと」。今春のマイラーズCは、騎乗予定の松山が前日に落馬して急な乗り替わり。代打騎乗で勝利をつかんだが、続く安田記念で馬上にいたのは香港の名手モレイラだった。この秋は始動戦の富士Sで2着。自らの手綱で、本番の指名を勝ち取った。 GⅠ級の能力を持ちながらなかなか勝ち切れない。ソウルラッシュについて回っていた善戦マンの肩書。これを取り払うことができた最大の要因は「渋った馬場」や「スムーズな競馬」ではなく、若武者・団野の強い思いだったのではないか。 今後は招待を受諾したGⅠ香港マイル(12月8日=シャティン競馬場芝1600メートル)に向かう予定。今年の安田記念を同国のロマンチックウォリアーが快勝したように、短距離王国の壁を打ち破るのは決して簡単なミッションではない。しかし、今のソウルラッシュなら…と思えるだけの材料はある。 「マイラーズCのときは(池江)先生から〝ソラを使うところがある〟と聞いていましたが、馬が充実して大人になって、抜け出してからも力強い脚を使ってくれました」と団野が評する一方、池江調教師は「正直(体を)もう少し絞りたかったけど、思いのほか減らなかった。究極の仕上げをしたかったが、できなかった」と本音を吐露する。陣営の言葉を借りれば、今回の悲願達成も100%の状態ではなかったということ。ベテランの域に達している6歳馬とはいえ、淀でつかんだ初タイトルを契機にさらなる高みへと突き進んでいく可能性は決して低くあるまい。
東スポ競馬編集部