米大統領選 クリントン氏に向かい風も?「ベンガジ事件」描いた映画公開
アメリカ大統領選が2月1日のアイオワ州党員集会を皮切りに本格スタートします。民主党候補はヒラリー・クリントン前国務長官が有力視されていますが、そのクリントン氏に思わぬ向かい風が吹くかもしれません。2012年に起きたリビアの米領事館襲撃事件を描いた映画が公開されるからです。 【図】2年がかりの米大統領選が なぜこんなに長い選挙を行うのか?
アイオワ党員集会の直前に公開
アメリカで今月15日にアクション映画「13時間:ベンガジの秘密部隊」が公開されます。監督は「トランスフォーマー」や「アルマゲドン」といったヒット作を手掛けてきたマイケル・ベイで、リビアのベンガジで2012年9月に発生したアメリカ領事館への襲撃事件をテーマにしており、作品では領事館を襲撃するリビア人武装勢力とアメリカ人の民間警備会社スタッフらとの間で繰り広げられた激しい戦闘の様子が描かれています。地中海のマルタ島にベンガジそっくりのセットを作り撮影されたこの作品は、戦闘シーンの激しさなどからアメリカではR指定がかけられています。 実際の戦争やテロをベースにした映画はハリウッドでもこれまでに何本も作られてきましたし、ベイ監督は2001年にもベン・アフレックを主演に起用して「パールハーバー」を制作しています。しかし、彼の最新作「13時間」の公開日が、大統領選挙の最初の大きなイベントとされるアイオワ州大統領候補指名党員集会の2週間前となる今月15日に設定されたため、候補者選びに少なからず影響を与えると指摘する声が上がっています。
アイオワ州大統領候補指名党員集会で民主・共和それぞれの政党でトップの支持率を得た候補者は、その後の選挙活動も有利に進められる傾向があり、オバマ大統領(2008年)やブッシュ大統領(2000年)もアイオワを制しています。今回の米大統領選挙で民主党の最有力候補はヒラリー・クリントン氏ですが、ベンガジのアメリカ領事館襲撃事件は彼女が国務長官を務めていた時期に発生しており、事件の対応をめぐってオバマ政権やクリントン氏は現在も厳しい批判にさらされています。映画では当時のクリントン国務長官に関する描写はありませんが、クリントン氏にとって政治的な汚点ともいえるベンガジ問題がこの時期に有名監督によって映画化されたことで、世論に少なからず影響を与えるという見方は存在します。