深刻化するサイバー攻撃に備える、「GITEX Asia」で探るセキュリティ技術の最前線
アジア最大級のテックカンファレンス「GITEX Asia」が、2025年4月23日(水)から25日(金)までシンガポールのマリーナベイサンズで開催される。世界中からテクノロジー業界の関係者が集まるこのカンファレンスで、サイバーセキュリティ分野が最も注目されるテーマの一つとなる。 IBM X-Force Threat Intelligence Indexによると、アジア太平洋地域は2022年に世界で最もサイバー攻撃を受けた地域だった。2023年にはその座をヨーロッパに譲ったものの、アジアは依然としてサイバー犯罪者の主要ターゲットとなっている。同年の統計では、世界のサイバーインシデントの23%がアジア太平洋地域で発生しており、この地域の企業や政府が防御体制の強化を急務としていることを示している。急速なデジタル化やIoTデバイスの普及が、アジアにおけるサイバーセキュリティ市場の拡大を後押ししている。 しかし、サイバーセキュリティはその重要性が認識されつつも、依然として軽視されがちな分野である。近年の事例では、些細なミスや脆弱性が甚大な被害を引き起こすことが多い。例えば、最近のCrowdStrikeのインシデントでは、バグのある更新プログラムが世界中の数百万のシステムを停止させるという深刻な問題を引き起こした。もしこの事例に悪意ある攻撃者が関与していた場合、被害はさらに深刻化していたであろう。 こうした状況により、サイバーセキュリティの重要性が再認識されている。本質的にサイバーセキュリティは「保護」「検出」「復旧」「コンプライアンス」の4つの柱により構成されているが、これらの要素はすべて、アジア地域のデジタル変革の進展に伴い進化し続けている。
保護:デジタル防御の強化
サイバーセキュリティの第一の柱は「保護」である。アジア地域では、AIや機械学習などの高度な技術を活用し、企業が斬新な防御戦略を構築している。これらの技術は、重要なインフラを守るだけでなく、急増するIoTやマシンツーマシン(M2M)接続による新たな脅威にも対応している。 シンガポールはこの分野でリーダーシップを発揮しており、同国のサイバーセキュリティ庁(CSA)は、2022年にランサムウェア事件(コンピュータのデータを不正に暗号化し、復元と引き換えに身代金を要求する悪質なマルウェア)の発生件数が3.6%減少したと報告している。この成果は、サイバー衛生と検出システムの強化に注力した結果であり、予防措置と強力な防御戦略への投資がサイバー攻撃のリスクを低減することを示す好例である。