じつは「ウォーキングだけ」では効果が無かった…!ついに分かった「たった3秒」だけで筋力がアップする「スゴイ方法」
高齢者が3秒で効かせるには?
私たちのもともと研究の対象は、若い学生たちでした。どこまで運動のハードルを下げることができるか、日頃運動していない学生たちに全力で「ゆっくり下ろす」を3秒かけて1回だけやってもらったところ、1ヵ月で筋力が最大12%アップすることがわかったのです。 2022年、その結果を国際論文として発表。「3秒×1回で効く」というユニークな結果が注目を集め、アメリカを代表する日刊紙『ニューヨーク・タイムズ』にも取り上げられるなど、さまざまな好意的な反響を得ることができました。 若い学生なら全力で「ゆっくり下ろす」運動も難なくこなせますが、高齢者にたった1回でも全力で筋トレをやってもらうのは安全面で不安があります。 そこで全力ではなく、3秒かけて「ゆっくり下ろす」だけの運動なら、何回繰り返せばいいのかを調べてみました。すると10回繰り返せば、全力でなくても筋力がアップすることが確かめられたのです。 こうしてできあがったのが「3秒筋トレ」。3秒かけて「ゆっくり下ろす」運動を10回繰り返す。 これを2ヵ月半(10週間)以上続けることができたら、加齢や運動不足などによる筋力低下にストップがかけられるだけではなく、筋力をアップさせて健康寿命を延ばすことも可能になるのです。
基本の3秒筋トレ
ここで「3秒筋トレ」の基本種目を紹介します。3秒筋トレには、働きかける筋肉部位ごとに、いくつかバリエーションがありますが、ここでは基本の種目「椅子座り」をご紹介します。これを1~2日おきに週3回以上行うことを最初の目標にしてください。 「3秒筋トレ」でもっとも大切なのは、3秒かけてじっくり丁寧に「ゆっくり下ろす」こと。でも、タイマーを使わず頭のなかで3秒をカウントするだけだと、意外と3秒未満だった、ということが珍しくありません。 そこで私がオススメしているのは、「1、2、3、4、5」とゆっくり5つ数えること。これでだいたい3秒になるのです。 もう1つ意識してもらいたいのは、「ゆっくり下ろす」後半に、より時間をかけることです。 やってみるとわかりますが、「ゆっくり下ろす」後半ほどしんどいもの。 私が体験者に「ゆっくり5つ数えながら下ろしてください」とアドバイスしても、「ゆっくり下ろす」前半で「1、2、3......」とカウントを稼いで、いちばん丁寧に行ってほしい「ゆっくり下ろす」後半は「4、5」と手を抜く方が大半。それでは「3秒筋トレ」の効果は半減します。 「1」である程度下ろしてから、そこから先は「2、3、4、5」と丁寧に下ろすように心がけてください。呼吸を止めると血圧が上がりやすいので、頭のなかでカウントするのではなく「1、2、3、4、5」と口に出して数えながら、呼吸をゆったり続けましょう。 ■基本の3秒筋トレ「椅子座り」