24歳で乳がんに「まさか私が…」若年性乳がんを経験した女性が訴えたいこと
10月は「乳がん月間」です。進行した状態でがんが見つかるケースも多い若年性の乳がん。24歳で乳がんを経験した女性が訴えたいこととは― 【動画特集】24歳で乳がんに「まさか私が…」若年性乳がんを経験した女性
一瞬、頭が真っ白…「先のことまったく考えられない」
「抗がん剤治療をして、子どもは難しいかもしれないという話とかもあったので、子ども3人いる今の状況は、全然考えられなかったですね」 熊本市在住の田中さん。3人の子どもを育てる母親ですが、数年前まで自分が子どもを授かる姿を想像できませんでした。 乳がんが見つかったのは7年前、24歳のとき。パートナーとの結婚を考え始めた頃でした。ふと、右胸にしこりを見つけましたが、仕事で忙しく、痛みなどもなかったため、しばらくそのままにしていました。 それから、3カ月後に受けた精密検査では、ステージ2の乳がんという診断。「まさか私が…」と、頭が真っ白になったといいます。
初期ではあったものの、がんの大きさは直径3㎝に達し、すでにリンパ節にも転移していました。半年間にわたる抗がん剤治療を行い、手術でがんをすべて摘出しました。 「一日一日を、その日を生きるという感じでしたね。先のことをまったく考えられなくて」
2年近い治療を終え、現在は半年に一度、病院で経過観察をしています。闘病を経験し、家族ができて、守りたいものが増えたからこそ、不安を感じることもあるといいます。 「もう7年経つけど、夢を見るんですよね。再発したとか、告知された時の夢をいまだに見て。飛び起きて隣に子どもたちがいるのを見て、夢だって思う」
女性の9人に1人が乳がん 30代後半から急増するが…
女性の9人に1人が経験するといわれる「乳がん」。女性のがん罹患者の内訳をみると「乳がん」がトップです。 ■女性のがん罹患者数(2020年) 1位 乳房/2位 大腸/3位 肺/4位 胃/5位 子宮 乳がんは、30代後半から急増し、40代から60代でピークとなりますが、みわクリニックの秋月美和院長は「20代、30代では、乳がん検診は積極的にはありませんので、見つかったときには、すでに大きさが大きかったり、ステージが上がっていたりということがあるのではないか」と指摘します。 進学や就職、結婚、出産などさまざまなライフステージが控える20代。理学療法士として病院で働く田中さんも、一番悩んだのは「仕事」と「治療」の両立でした。 「毎週の治療だったので、やっぱり最初は辞めないといけないかなと思っていた」 仕事を辞めずに治療を続けられたのは、職場の理解があったからでした。 「相談したら『そのとき休んだらいいよ』『あとは大丈夫だよ』って言っていただいて、すごく安心して治療できたと思います。ちょっときつくても、職場に出てきて、患者さんや同僚と関わっていく中で、気持ち的にも明るくなれたし、頑張る気力にもなったし、自分のモチベーションでもあった」